巡検3日め 日高三石の蓬莱山の神居古潭変成帯の南限と,北上して石狩平野の第4紀テフラ.

巡検も後半となりますが,天気にも恵まれて巡検日和は続きました.

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浦河から少し北に上ったところにある,三石川の麓にある,蓬莱山.河原の駐車場に車を停めて,線路沿いに上流側に少し歩きます.
神居古潭変成帯の角閃岩が塊で山をなしていて,神社のご神体になっているところです.まずは神社にお参り.
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由来の書かれた石碑など. 神社のすぐ横を通る日高本線は2年前の台風のあと,不通となり,ごらんのような状態.近く廃線が決定されるとか.残念なことです.
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蓬莱山から少し下った,隣接する広い河原にパターゴルフコースがあって,無料の駐車場があります. その下流側の河原はとても広く,神居古潭の変成岩類や,上流から流れてくる様々な種類の岩石を見ることができます.
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赤いチャートには放散虫が入っていました.緑色の岩石は結晶片岩が多い,
あとごらんのようなかんらん岩らしい岩石も.このあと,海岸を少し南下して,あたりにあるという柘榴石角閃岩を海岸の砂利から探したのですが見つからずこちらは断念.今回の巡検で唯一の心残り.
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帰りに昨年も立ち寄った泥火山のサイトでトイレ休憩.
紋別の蕎麦屋で太い自家製蕎麦の昼食.この旅で唯一食堂に立ち寄りました.
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サンプル箱を送付するため苫小牧市内の郵便局に.土曜日午後ですが営業していました.
その後苫小牧周辺のテプラの観察サイトSTOP1に.ガソリンスタンドで聞いた土地所有者の女性に観察をお願いしたところ,快諾を得た.とてもたくさんの地質研究者が訪れているという.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/geosoc/124/7/124_2018.0038/_article/-char/ja
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論文にある,最下部には厚さ8m以上の支笏カルデラ形成噴火の火砕流堆積物(Spfl)が存在」という記述の露頭.Fig.11にも記載がある.
ガラス細工の教室を営む所有者に,立ち入り許可をもらったので,段の上にある降下火山灰層を近くから観察.論文には
本露頭で観察できるのは,恵庭火山から約2万年前に噴出した En-a,樽前火山から9000年前頃,2500年前頃,西暦1667年,西暦1739年に噴出したTa-d,Ta-c,Ta-bおよびTa-aである (古川・中川, 2010).本露頭でのEn-aは厚さ約120 cmの黄褐色降下軽石堆積物で,下部はやや粗粒である.本質物質は斑晶量に富み,斜長石・斜方輝石・単斜輝石斑晶を含む.En-aのガラス組成 は,SiO2=76%程度,TiO2=0.3%程度,K2O=2.6%程度に集中する.Ta-dは黄褐色~橙色の軽石およびスコリアからなる降下火砕堆積 物で,厚さは約30 cmである.斑晶量は軽石では多く,スコリアでは少ない傾向がある.斑晶組み合わせは斜長石・斜方輝石・単斜輝石であり,スコリアではかんらん石も認めら れる.
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下部の恵庭火山からのテフラが中心の噴出物が下に崩れてきたもの.黄土色の軽石のほか,少し色の黒いスコリアも混じっている.
黄褐色の恵庭降下テフラの上部に薄く,樽前火山からの4層Ta-d,Ta-c,Ta-b,Ta-aが見えるが最後の最上層Ta-aはわかりにくい.恵庭の軽石は降下火山灰を示す級化構造が顕著だとB氏に教えてもらう.
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夕刻に近郊のウトナイ湖にやってきた.ここに来るのは2000年の有珠西火口下見のとき以来,2度目となる.
展望台から見たウトナイ湖.
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室蘭のホテルに向かう高速の樽前パーキングからの樽前山.ここは当初予定していたが,2000年に一度訪れたことがあるので,今回はパス.
室蘭のビジネスホテルから夕食を買いに,市内のスーパーに出る途中の運河.遠くにこの街のシンボルの製鉄所が見える.ホテルの写真は撮るのを忘れた.


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