2020年秋,南九州阿蘇&鹿児島巡検      2020年9月22日

FaceBookに上げた巡検記をここに載せます.一部写真の追加や記事の修正を行っています.
ここでは巡検後半の鹿児島編をご紹介します.鹿児島大に入った附属高卒業生のI君(私が昨年SSHの 研究を担当)が現地で待ってくれていて,レンタカーの乗員は5名と賑やかになりました.

南九州巡検,後半の桜島,開聞岳,そして霧島(えびの)高原をお届けします.
桜島は,頂上に雲がかかり様子が見にくかったのですが,最終日の朝にどうやら噴火してくれたようです.周回路から昭和溶岩や大正溶岩を実感しました.またそこかしこに設けられたシェルターや火山灰を捨てるための袋に,活火山と生きる厳しさを実感しました.
開聞岳は美しい姿とはうらはらに,訪れるには聞きしに勝る秘境でした.地図では周回路として表示されている,怪しげな自然歩道を車で行ったのですが,どこ にも海に降りれる道がなく,結局公園として整備された場所からのみ海岸に降りれました.海蝕崖に囲まれた火山を初めて見ました.地図を見て計画するのと, 現地を見て調べるのとの違いを痛感しました.
14日で帰るお2人を鹿児島空港に送ったあと,さてどこに行こうかと考えたとき,鹿児島市内に帰るよりは,近い霧島(えびの)高原を訪ねてみることにしま した.結果的にこれは大正解.霧島五山のふところに入ることができました.成分が微妙に異なるこれら南九州の火山灰なども少しずつ採取できました.これで 九州の活火山は離島を除いて,ほぼコンプリートしたことになります.


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阿蘇から高速で鹿児島に夕刻近くに到着,西郷隆盛終焉の地,城山公園から見た鹿児島市街と桜島.火山と都市が隣り合っているのがよくわかります.鹿児島は私にとって空港以外の土地を訪れるのは初めてです.
桜島を遠望.長期予報は外れて晴天になったのですが,山頂に雲がかかっているのが惜しい.
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鹿児島のホテルはGOTOのおかげで,3泊で1万2千円.しかし最上階 14Fの部屋は広いのはいいのですが,何と日本では珍しい,シャワーのみでバスタブのない作り.オーシャンビューでもないので,フロントに言って2泊目か らはバスタブ付きの,オーシャンビュー,つまり桜島が見える部屋に替えてもらいました.
鹿児島巡検2日め.朝から桜島にフェリーで移動します.5m未満の車が片道2000円弱,乗客は200円で距離はとても近いのです.車の乗るフロアは3層になっていました.観光客はまばらでした.
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最初にビジターセンターへ.敷地内に早速溶岩が顔を出します.
ビジターセンターのロビーに火山活動のモニタ装置が表示されています.火山とともに暮らす工夫でもあります.
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剥ぎ取り標本など,展示の数々.
早速規制なしに行ける最高地点の展望所へ.ここも車で楽々いけます.
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段に溜まった火山灰.安山岩質で灰色をしています.
周回路途中にある,昭和の溶岩の模式地.
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B先生が水で洗われた火山灰に面白い表面模様をみつけました
こちらが色んな火山の本に載っている埋没鳥居.バスで観光客も訪れていました.
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たしかに一度の噴火で溜まった火山灰のスケールがよくわかります.
この桜島を象徴する退避壕(シェルター).これで助かる規模の噴火であればよいのですが.
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こちらは有名な被害を出した大正噴火の溶岩の露出する場所が公園になっています.
溶岩流が海に向かったあたりです.村長が測候所の言うことを信じて,避難を呼びかけなかったために甚大な被害が出たことを悔いたという有名なエピソードがある噴火です.
https://www.sci.kagoshima-u.ac.jp/oyo/advanced/disaster/record3.html
http://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h24/70/past.html
に詳しい噴火の経緯が載っています
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さて公園の火山灰の掃除のお手伝い.博物館の人に聞くと,国立公園内でも.火山灰だけは空から降ったものなので,博物館のショップで売ることができるそうです.
残念ながらこの日は山頂は姿を現してくれませんでした.噴煙は確認できたのですが.
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さて午後は,一路南に下った開聞岳を目指しました.山の中の道を通った ために指宿に入ってからもなかなか,食堂にありつけず諦めたころに,やっと田舎の開業している食堂にたどり着きました.1300円のカツオのたたき定食は やはり漁業の本場らしく,とても新鮮で美味でした.ちなみにいつも食事はホテルの朝食と,スーパーの安売りになったお惣菜ばかりを食べていたので,こんな 旅情に満ちたご馳走は久々でした.
さて開聞岳に向かう途中にある有名な観光地「長崎鼻」に立ち寄りました.薩摩半島が海につきだしたところにあります.一応観光地で,数少なくなった茶店が客引きに追われていました.新型コロナ騒ぎで減った観光客相手の商売も大変だなと感じました.
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ここには玄武岩質の火砕流が分布すると地質図では教えています.
B先生いわく,空中で酸化した赤い部分と軽石が熱で溶けて溶結した黒い部分(Fiammeと呼ぶ)が混じり合った溶結凝灰岩だという解釈.ここでは確かにレンズ状のフィアメが顕著です.
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しかしごらんの露頭では,私は黒い部分は玄武岩質Lavaで赤い部分は酸化したスコリアにみえたので,少し解釈が異なりました.
さてようやく開聞岳のふもとに到着.周回路に向かう前に,すぐ側の漁港に立ち寄りました.

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お目当ては,砂浜にあるというオリビンサンドですが----.
さて念願の開聞岳の海岸にやっと到着.ここに来るまで,開聞岳の周囲を 回る唯一の車道である自然歩道を車で2/3周.ゴルフ場に迷い込みそうになったり,とてつもなく長い1車線の不気味なトンネルをくぐったり,海岸に何とか 降りようと試みるも,途中の畑がから下には絶壁で降りれずとかの試行の繰り返しでした,地図で観る限り,周回路から海岸に降りるのは簡単そうに思えたので すが.
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天然記念物の縄状溶岩少し遠いのであとにして,とりあえずあたりの海岸の転石を見ます.
ごらんの各種溶岩が見れる,素晴らしい場所でした.開聞岳は外形は美しいコニーデ型の火山ですが,何と溶岩は流れやすい玄武岩質なのです.とても不思議です.自然は教科書をしばしば裏切る例と言えるかも知れません
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この海岸には,天然記念物指定がされている「縄状溶岩」が少し離れた場所に露出するのですが,波に侵食されてごらんのようにあまりきれいなものではありません.流れやすい玄武岩溶岩が作る典型的な模様なのですが.

さて見事な「さつま富士」ともお別れです.鹿児島に戻ります.さきほど の海岸に降りた公園のあたりには,道路際におびただしい数の灯籠が並んでいました.何だろうといぶかったのですが,Mさんがどうもフィリピン戦線でなく なった兵隊を弔うものらしいと教えてくれました.そういえば特攻隊基地として有名な知覧もすぐ近くにあります.南方戦線が近かった鹿児島には今も,太平洋 戦争の記憶が色濃く残っているように感じました.
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鹿児島湾ぞいの道で,やっとシラスの片鱗が見えました.今回は典型的な火山灰層を観ることはできなかったので,次回のお楽しみとします.
さて,鹿児島3日の朝,ホテルの朝食です.前の席とはアクリル板,バイ キングの料理を取る右手にはごらんの手袋をつけるなど,細かなルール.それでも値段の割にとても豪華な朝食で満足.まず仕事の関係でこの日の昼の便で大阪 に帰るB先生とMさんを空港に送ります.その前にサンプルで重くなったダンボール箱を郵便局で大阪に送りました(何と明くる日にはもう着いていました).
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この日の朝はやっと山頂部が晴れて,小規模な噴煙が見れました.桜島が元気なようです.
帰る2人を空港に送ったあと,残ったS君,I君とともに,車で鹿児島市 内に戻るか思案したのですが,思いたって比較的近い霧島(えびの高原)を訪れることにしました.結果的にこの選択は良かったです.霧島はメンバー全員が初 めてなので,とても良かった.これは温泉旅館が立ち並ぶ一角から少し山に入ったところにある噴気地帯です.
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こちらもビジターセンターの足湯をたしなもうとしましたが冷えていて止めました.
ビジターセンターの展示.
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ビジターセンターから遊歩道が,火口池をめぐるようになっていたので,それをたどりました.
途中に火山ガスの探知機かと思ったのですが,登山者の数をカウントするセンサでした.鹿児島大学理学部1年生のI君が鹿児島の旅を同行してくれました.彼は一昨年,私が附属高でSSHの研究を手伝った際の生徒でした.
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最初火山ガス感知器かと思った,通る人間のカウントのためのセンサ部.
森の中の,気持ちのよい散歩道,いや遊歩道ですが,何か動くのでみた ら,久々に野生の鹿に出会いました.ちょっと写真を撮るには遅すぎてどこかに姿をくらましました.北海道で突然エゾシカが茂みから出てきたときには熊かと 驚き,命が縮みましたが,ここには熊はいないようです.

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韓国岳を望む展望台に到着.手前に硫黄山が少し噴気を出している. 湖水がきれいな火口湖.最終部は巡検人数も半減で,おまけのような日でしたが,予想に反して天候にも恵まれて気持ちのよいハイキングができました.
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池はもう一つあって,こちらは人工的な堤があるので,何かと思ったら, かつて冬の間水を溜めて,アイススケート場として使われていたとか.なるほど火口湖が天然のリンクになったわけです.火口の側でベースサージ堆積物がある と書かれているのですが,ちょっと場所がわかりません.
最後に.せっかく来たからと,車を少し飛ばして新燃岳に近い高千穂河原 のビジターセンターの方にも立ち寄りました.スタッフの地元の人から,2011年新燃岳噴火の詳細をお聞きしました.お鉢火山に登山中の人がいて,大慌て で下山したこととか,このあたりも火山灰が積って,それを取り除くのが大変だったとか.興味深い話しでした.
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駐車場には例の退避壕.
そして注意を呼びかける立て看板.あとでビジターセンターの方に2011年の新燃岳噴火のときの様子を詳しく伺えました.
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お鉢火山の噴火で壊れて,山麓に移転した霧島神宮のあと.
噴気を出していた硫黄山は,今朝火山性地震が起きていることを知りました.(9/22追記.このあと新燃岳では,現在火山性の地震が頻発するようになっています)
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2011年新燃岳の噴火ではビジターセンターが半年間閉鎖されたそうです.火山灰の清掃が大変だったとか.
さて噴火のたびに,標高の低い場所に移転を繰り返した霧島神社.現在の立派な霧島神社の境内は車でかなり下ったところにありました.天孫降臨神話の本拠でもありました.
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さて,大阪に帰る日の朝のいつものホテルの朝食.Gotoとはいえお客さんはそれほど多くなく,多くは工事関係者のようでした.
ホテル前の路上にあった,火山灰の廃棄袋.鹿児島名物のようです.結構重いものです.あたりは歓楽街「天文館どおり」の中心地で,大阪でいうと道頓堀みたいなところです.夕食は歩いて20分のイオンなどで買ってました.
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この日(9月15日),早朝桜島が小噴火し,1000mまで噴煙が上がったとか,あとから帰るS君からのLineで知りました.これはその噴火の直前時刻のホテルの窓からの桜島です.噴煙らしきものが見えます.もう少しちゃんとみておけば噴火の瞬間がみれたかも.
さて芝生の線路の上を走る,この市を象徴するこの市電ともお別れです.また訪れたい街となりました.同行して案内してくれた卒業生のI君ありがとうございました.




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