<Diary with linux, geoscienceguitar & others> 2011.Mar.
「備忘録/日記」(自分のためのメモですが何かの参考に,背景はようやくラニーニャ終焉の春モードに変身)

2011 04/23(土) 渡米を明日に控えてまだ土曜講座の初日.昼新しいTAの学生さんと昼食.専門が脳科学とか.
  かなりきちんとまとまった地震のサイト. あと渡米の用意など.結局だらだらと夜半まで.PPTの準備がなかなか終わらないのでこれも機中の仕事になりそう.向こうはホテルのネット環境があまりよ くないのでこれがネック.資料はほとんどこちらで用意.いまどきの米国も旅行者にとっては結構不便な国なのだ.それでは5月に帰国するまで.しばし日記も 中断します.

2011 04/22(金) 磯観察で採集してきた巻き貝が活発に水槽で泳ぐ日々.今日は少し津波の計算をまた進める.
  貞観津波の計算をMINOURA2001を参考に再度始める.計算のチェックが目的だが,仙台と相馬の波形はやはり後続波が異なる.どこかに微妙なずれがあるのか.昨夜思い立ってNOKIAの携帯のアクティベート.あとさっき見てみたらまだ南アのMTNのSIMがささっていた.あわてて交換.これは次の2016年ケープタウンまで取っておくことに.ってIGCブリスベンはもう1年後なのか.このピルバラツアーはどうしても行きたいな.
 渡米用のPPTの資料集めでNNSAの放射能測定地図を見る.あとCaltechの人のかなり詳しい絵入りの福島原発の現状説明.日本の若い学生?がイントロデュースする講演動画もある.これかなり詳しい.ちょっと暗くなった東京というなかなかの動画.ようするに電気の無駄遣いに浮かれていただけなのか.もっと暗く感じたジャカルタの空港に降りた夜を思い出す.

2011 04/21(木) この日曜日に迫った渡米のための準備もたけなわ.PPTを空き時間に少し進める.本業も多忙.
  朝PPT用に写真を探していて,以前写真を落としたサイトに立ち寄るとone month later の記事.早速生徒に写真を紹介して,幾つかコメントを紹介.とくに182番の
What
a Nation, what people. It makes you envious of their dignity, their patience and their self-respect! Coming from a country where showing your emotions is a MUST, it is very novel to see the dignified way those people carry their enormous suffering and grief. They have my unlimited admiration and respect. They are the most noble people one can imagine. Keep on going with your lives my friends, you have the people of Greece and the whole world with you.       posted by Panos Hadjiconstantinou April 17, 2011 08:24 PM
という書き込みに感動.こんなに褒めてくれているのにちゃらちゃらできないなと生徒と話す.
 この前のスポーツテスト.50mを2本走って2回とも8秒1.運動不足でとうとう8秒オーバーが定着してきた.渡米を前にしてアキレス腱を切らなかっただけでも幸いと後でぞっとした.

2011 04/20(水) 寒風戻る中,中学生の磯観察に付き添う.おかげで自宅の海水魚飼育にも新たな仲間加わる.
  寒い日で3月中旬の気温とか.このところ低温が続く.ラニーニャはすでに終息宣言.今年の夏はどうなるか.米国の気温の情報入る.帰りに関空に立ち寄り米 国に行く同僚と最後のみやげの買出し.結局ありきたりなのだが,漆と金箔の図柄の置時計を1つずつ.最初京扇子や七宝焼などを考えていたがやはり実物を見 て決める.螺鈿のものも良かったが大きさが足りない.店主推薦の西陣織のタペストリはいいのだけどちょっと飾り方がいまいちで取りやめ.関空の土産物屋は 少なくなり,原発騒ぎからかどこも閑古鳥がないていた.夏のインチョンと大違い.風評とは実に本当に恐ろしいものだと納得.リスクヘッジの学問や教育の大 事さがよくわかる.
 さて磯から持ち帰った石畳貝かシッタカ貝を水槽に入れた.今のところ生きている.何かこんな寄生虫もいるらしい.同僚は持ち帰って湯がいて食べると言ってたけど.そういえば学生の頃,
島根半島のフィールドで進 級論文の地質調査をしたとき,泊まっていた宿というか普通の民家の夕食後にガンガラの塩茹でがどんぶり鉢に山盛りで出て,ビールや水割りを片手につまんで 食べた記憶が.その家の小学生の姉妹2人の家庭教師役が結構大変だった.彼女らがう

まそうにガンガラの塩茹でをマチ針でくるくるっと取り出して食べていた 様子が今も目に浮かぶ.
 UBUNTUそろそろ11.04とかで現行の10.10をどうするか.いずれにしても帰国してからになりそう.あと更新過程をメインに内臓した長期予測に ついて調べる.この論文でポアソン過程は見るも無残に打ち捨てられているのだけど,そもそもその仮定にあった南海地震の過去のデータ数とか信憑性とかを ちょっと調べないと何とも言えない.悪いけどこういった過去の予測モデルそのものの妥当性の科学的根拠はどの程度だったのかと今は後出しジャンケンになっ たがやはり問いたいと思っている.
 あとやはり香山リカが大事なことを示唆してい る.この人が例の勝間とか櫻井とかの100倍くらいかしこいことはすぐにわかる.今回の地震と津波であぶり出されてきたものはリスクヘッジをどうするかと いう問題.要するに未来の予測手法とかでもろもろの薔薇色の予測を持ち出したもののの,現実にことごとくそれらが間違いであったことに気づかされた今,世 の中のリスクを一体何で評価しそれに対する備えをどのように立てれば最小コストで最大利潤が計れるかという問題.もちろん今すぐに答えは出せないけど.

2011 04/16(土) やっと取れた土日の休日で自宅で渡米に向けたPPT原稿作り.まだ花冷えは続く長期予報.
 夜サンデル氏のTV中継を少しだけ見る.命がけの任務にどのような人を送り込むべきかという問いに上海の学生は,志願性で独身で金を用意せよといい,ボストンの学生は義務性で貢献への意志が大事で金ではないという.一昔前なら真逆な反応だったはずと時代の流れに驚く.
 午後スーツケースを用意して,少し荷物を詰める.1週間だが土曜日が仕事の予定なので今週が勝負なのだが,これがまた多忙な日々が待っているので今のう ちに少し用意.パスポートやら所持金やらの点検.あとデジタル機材をどれだけ持っていくかだが,とりあえずGPSともっとも小型のデジカメとHDビデオだ けにする予定.それにLetsNoteで今回はデジカメの中型のかさばるものはなしとする.ハンマーは現地で必要なら借りることにしたので気が楽に.
 USGSの
Subduction Zone Geometry Analysis.低角のスラストであることがよくわかる.あとトップページからたどれる.今回の地震のレビューpptとpdfも参考になる.これは渡米したときの資料として一応用意しておくことに.あと同じページにNew Madrid Bicentennialの特集へのリンク.なるほどちょうど200周年なのだ.このページの説明によると大陸内部のリフトとして開きかけたが結局失敗して,地殻に弱い部分を作ってしまったところという解釈.ShakeOut Drill Manual for K-12 Schoolsというマニュアルまでできているのは驚く.それも学校向けだけでなくオフィスや公共機関向けなど多種多様で米国のこういった試みは日本でもおおいに参考にしなければいけない.そういえば忘れていた太陽黒点.すでに最盛期に入ったのか立派なのが出ている.F10.7も100越えをキープ.ラニーニャは終息宣言が出た.夏はどうなるのか?

2011 04/15(金) 通勤途中の池畔の桜はだいぶ葉桜になり,夜風呂上りにシャツ1枚で過ごせる陽気になってきた.
 水曜日に頼まれて高3生全員にLHRで東北津波の話を英語のPPTで20 分.よく聞いてくれた.これも結構勉強になった.直前にアイルランドのALTに会ったので少し手を入れてもらって助かった.lessonが一部 lessenになってたり.これスペルチェックを通ってしまうから始末が悪い.あとlives and housesと書いたところをhousesではなく,property(Uncountable)に修正してくれる.なるほど.あと終わってから発音のお かしいところを英語の同僚2人にあとで指摘される.livesはライブス.heightはハイト.あと今日高3の英語好きの女生徒にthemeはシーマだ と習う.こんなことも知らなかった.
 ゲラーさんのNatureでのコメント.まあ新しいものはないのだけどいつもの論調.ただ確かに固有地震の定義がこれで大きく揺らいだことだけは確かだと思う.これ昔から気になってはいたのだけど.あとはアスペリティ概念だがこれはちょっと私の能力を越える.
 昨夜,ちょっと科研費出張の学会費を調べていて,2009年のAGUの講演動画を見つける.これを早速すべて落とす.ところがこれが職場でも,自宅でも最強のAvidemuxでエラーが出る.確かに画面が大きいのが悪さしているのかも知れない.本当に動画のコーデック関係だけは統一規格を作ってほしいところ.
 ということで自宅に帰って,昨夜のAGUビデオのmp3化に勤しむ.まず,以前の一括変換スクリプトを修正(これ職場のだと何かが不足して,作ったmp3が再生できなかった).

#!/bin/sh
for flvfile in `ls *.flv`
do
ffmpeg -i $flvfile -acodec libmp3lame -ab 192 $flvfile.mp3
done

でOK.これでmp3プレーヤで聞けるmp3ができる.あとはこれをeasyMP3Gainに放り込んですべて92dBに調整.mp3プレーヤに移す.
 今日昼に思い立って,JNBからドーハの空港まで一緒だったインド人の青年にメールを送る.彼の写真などを添えて.すぐに返事が来て実は地震の影響を心 配していて連絡を取ろうと思っていたところとか.まだ操縦士の仕事には付けていないらしい.健闘を祈ると再び返事.連絡が取れて良かった.

2011 04/12(火) 春らしい陽気の昼とまだ寒さが残る夜.久々にスーツ通勤を継続.高3地学で東北津波について語る.
  夕刻うわさを聞きつけた3年生が津波の計算を見にくる.元の方程式を丁寧に説明.やはり説明するのは重要.だんだん自分でもわかってくる.それとaviの コーデックが一部のWindowsマシンで再生できないと教えてくれる.なるほど確かにUleadを入れた機械だと見れるがそれ以外のWin機では見れな いことに気づく.これUbuntuなら何の問題もないのに.検討課題がまた出てきた.知り合いの中学の先生からの宿題,和歌山の紀伊水道ぞいの津波の波高 データをメールで送付.あと明日のPPTの改良.closing remarksに例のCMの英語字幕を使うことに決定.あとこのサイトで結構面白いCMを見る.かつて広告代理店を代替の職業として目指していた私としては捨て置けない.そうかレベル7か.水漬けも一つの案とか.放射能に水.この関係しかないようにも思えてきた.

2011 04/11(月) 今日から始まった本業に忙殺.年度初めの所用+嬉しい科研費+会議など.桜散り始める.
  津波の計算と原稿書きはちょっとしばらく時間ができるまでお休み.水曜の話の原稿の続きのみ.村上龍のNYタイムスへの意見を知る.それほど名文とは思えないが,最後のExodusとの対比が良かったので採用.あと同じNYTimesの地震の記事を印刷.あとまだ原発の収拾の見通しが立たない時点でこの関係のコメントは差し控えておきたいけど,うーんこんな有名人が出ているこの動画.ちょっとなあ.やっぱりでたか1960年代.小学生の時に雨降ったら放射能で毛が抜けると言われた時代.これの生データを探しているのだけど.貞観地震の津波堆積物の調査のビデオ. うーんメガスラスト.連動型とか色々言われるけど明確な定義は未だないこのタイプのプレート境界型の最大級の巨大地震の研究はまだこれからなのかな.それ より宮城県沖のアスペリティ関連の理屈と今回の地震がどう結びつくのかが一番知りたいのだけど.幕張の学会では出るのだろうか.

2011 04/10(日) 昼弁当を作って近所の狭山池まで花見に.満開から散り染めだけど初めて暑く感じる日だった.
  今週の水曜日に地震津波関連の話をするのでその内容をPPTにまとめる.米国研修も間近なので思い立って英語にする.Wikiの英語版とかNatureの特集とかを参考にする.原発事故関連の動画など.夜に入り原稿の続き.クラブの天体観測で久々に研究室の床に寝る日を挟んだ週だったので,やっと睡眠をちゃんととれた気がする.

2011 04/05(火) 長居にやっと桜は咲いたか.勝てるとは思っていなかったけどこれも想定外,乾のスピードと切れ復活.
  夕刻キックオフには間に合わなかったけど長居で観戦.出だしの猛攻をしのいで徐々にセレッソペースに.ボールは持てるが点をとれずに前半終了.席を相手 ゴール側に移動.今日は珍しく乾の動きがピカイチ.ここ数年見た中では一番良かった.それにしてもバルサばりの小さなパスをつなぐサッカーははまるとなか なか驚異的.相手もかなりビビっていた.13番の清武と22番の倉田が攻撃では良かった.9番の助っ人は悪いけどアドリアーノとは違う.あとボランチの 16番キムボギョンが段々と良くなってきた.頼みの綱のジンヒョンは絶対絶命の相手のシュートを1本,足で止めてくれて周囲は絶賛.何とか勝てて良かっ た.内容はともかくファイトを感じる久々の好ゲームだった.好選手が何人も抜けて心配したが,今日の試合を見るかぎりJの再開幕が楽しみになった.春の夜 に電光まぶしい競技場でサッカーを見れる幸せ.これが当たり前だと思えなくなった3.11以降.
 計算の方はそれなりに進む.やはり波高リミッタを解除した方があきらかに観測地に近いデータが出る.これでレンダリングなどし直し.職場PCの整備も進 む.やっとCPUが2.2GHzでフル稼働するようになった.1.6GHzしか出なかった今までの1年間は一体なんだったのか.早期にメール環境が復活し ただけでも良かった.買ってしばらく放ってあったE=mc2本を通勤で読む.数多くのエピソードがヨーロッパ物理学史の簡単なおさらいをしてくれる.リスクに対する興味深い分析

2011 04/04(月) 構内の桜はちらほらと咲き,昼間は少し陽気が暖かい透明度の高い晴天.例年なら黄砂の時期なのにと思う.
  職場のメインPCがこのところ立ち上げが異常になり,とうとう起動しなくなる.あわてて昼休みマザーボードを買いに走る.しかしどうもマザーではなく HDDからの立ち上げがおかしいことが判明.夕刻HDDを再び買いに走る.結局Ubuntuの再インストールは19時ごろからとなり,メールの設定などで 今日は終わり.溜まったメールへの返信のみ.急遽Win7上で焼いたUbuntuのCDはどうしても起動できない.またしてもWindowsの陰険なファイル設定か.結局計算用の64bit機でUbuntuシステムを焼いて何とか乗り切る.ビルゲイツが巨額の義援金をしたという話もついぞ聞かないし,この企業の本質をよく表していると私は思う.
  「TippingPoint」という書名に惹かれて買ったが,ロクな本ではなかった.出版社がSバンクで帯の宣伝がカツマーとは,本屋で見てから買ったら よかったと最近買った本のなかで最低本.ようするに社会心理学のいくつかの都合のよい例だけを寄せ集めて構成されたハウツー本みたいな作りで幻滅.せめて 参考文献くらいはつけとけよなという感じ.今時のこの種の本で複雑系の概念が少しも登場しないところがもう本棚からソッコーで古本屋行き確定.ブラックス ワンや池谷脳科学本が良かっただけにちょっと失敗.
 津波Simは波高が海底の深度より深くなるときのリミッタを付けるかはずすかで反射波の出方などが大きく変わる.これを検討中.

2011 04/03(日) 朝から自宅で資料収集やら翻訳.まだ寒くストーブを点ける.久々の休日.来週からは徐々に忙しくなるか.
  英語の必要性というか若い人は気の毒だなという記事がこちらこちら.勉強は必要に迫られて始めるというのは本当だ.普通の人が英語を意識せずに住める時代はもう今の40代で終わりなのだろうなと思う.ただ欧米人にとっての日本語はやはり最難関?ガスタービンで130万KWが可能だというニュースが日経のサイトに.あと原発事故についての比較的冷静な記事がここここ.あと地震に関する防災科技研のまとめUNAVCOのサイトこちらはΔCFFの計算とは正反対の結果というか,解釈のような.
 浅海長波の式のわかりやすい説明を探していたら,これを見つける.さっそく訳に勤しむ.ちなみに浅水長波は非線形であり,線形長波はそれを線形にしたもの.これ恥ずかしい話ですがきちんと知りませんでした.訂正の要あり.

2011 04/02(土) 校舎の通りに隣接する桜が5分咲きでやっと春を感じる昼間.今日も1日誰にも邪魔されずに計算に勤しむ.
  何とか形になってきた津波計算.今日は各地点の時系列波高データのファイルを作る算段.pgmの定義に戻ってこれを書き出しのルーチンを逆に使って配列に 載せ,必要な地点の波高をファイル順に串刺しに拾っていくという原始的な方法.画像からダイレクトに読めればそれに越したことはないのだが,どうも特殊なツールかライブラリを使う必要があるようでノーサンクスとした.原始的なのでこれが結構時間がかかる.おまけにこの元pgmファイルを自宅に持ち帰ろうとして200G近いコピーになり1時間半かかった.とりあえず串刺しプログラムの試作は完成.ただ今回の津波の連続した潮位データはまだ気象庁の花咲港と,釜石沖のものしかないようで.と書いていて気象庁の直後の報告にあったのを見つけた.これから解析.
 Devastitatingという言葉がぴったりの地震以前と以後のこの図,The Night the Lights Went Out Over Japan

2011 04/01(金) どこか物悲しい4月.朝夕はとても寒いのにまるで梶井基次郎の小説のように.春はしずかに忍び寄ってくる.
  今日も1日津波関係の計算やら作図やらで暮れる.拙作のものでも,仙台湾や千葉の旭市のあたりの高い波高が確認できる.NatureのNewsの幾つかを通勤で読む.その中に今回のようなメガクエークは若い海 洋地殻が大陸地殻の境界で沈み込むときに発生するが,日本のように古い海洋地殻が沈み込む場所では海洋プレートの密度が重くなり,沈み込みの角度が深くな るので起こらないと信じられていた.それがどうも起こるのではないかと懸念が出たのがスマトラ島の地震が最初で,それからそれほど時間が経過せず吟味の時 間がないまま今回の地震が起きてしまったという記事.Kanamoriさんなども予想外であったとコメントを寄せていた.あと原発関係の記事も幾つか.い ずれもそれほどセンセーショナルではなく科学者らしいコメントが続いていたがそれほど熟読できず.
 あと関連で航空機の宇宙線被爆の資料.これだとパイロットやCAで年2-3mSvとのこと.結構高い.疫学的には因果関係は結構難しいようだ.自然放射線量は世界平均で2.4mSV,日本はなぜか少なくて1.4mSvだとか.まあKEKなので信頼できるでしょう.
 ここに断層モデルの一例があって最大すべりが37mとか.桁が一桁多いのだ.これだと傾斜角が18度としても直上の海面隆起量は12m弱もあることになる.これでは本当に史上最大級の津波となるのでは.またその最大すべりのあたりに余震があまりないのも不思議.あれっ,何か急に円安に振れ出している.
 このところずっと考えているのは,日本のなかで歴史的にはもっとも貧しく,それでいて我慢強くまた決して饒舌ではない東北の人々を容赦ない自然災害がそ れも数千年に一度の規模のものが自分が生きている間に襲ったという事実である.もちろん科学的にはそれはほとんど偶然のなせる技だと言い切るのはたやすい のだが.おそらくナシム・タレブやディディエル・ソーネットのBlack SwanやDragon King理論ならば(理論であって断じて彼ら自身ではない!)そう言い切ることができるはずだ.その不条理を科学に託すことはできない.研究者はその不条 理に今苦しんでいるはずである.それも東北の地震を研究していた人々の無念を慮る.私たちが今平和な生活を営んでいるのは何も自分たちの努力や選択ではな く,単に運が良かっただけのことなのだ.それは神戸の時も痛感したし,今も同じ思いが強い.あまり単純な比較は不謹慎であるが,神戸のときは街一つ隔てた だけで全壊した家が続く街とそうでなくほとんど外見から被害が見られない地区が隣接していた.しかし今回の津波はそうではなく,低地は例外なくほとんど蹂 躙されて生活基盤を根こそぎ奪われてしまっている.圧倒的な自然の力にひれ伏す以外にない.これを表現する日本語が思いつかない.おそらく歴史にそのよう なすさまじい災害を見聞きした人が残らなかったからかもしれない.村上春樹なら,この膨大な喪失から立ち上がる小説をいつか書いてくれるだろう.前に書い たかも知れないがこんな喪失感を埋める作品を書ける才能を持つ作家は今世界に彼しかいない.自分に振り返ってこういった圧倒的規模の災害をどのように地学 教育で取り扱っていくのか.多分私に課せられた生涯の最後の研究課題かなと今考え始めている.


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