<Diary with linux, geoscienceguitar & others> 2011.Mar.
「備忘録/日記」(自分のためのメモですが何かの参考に,背景はようやくラニーニャの春待ちモード に変身)

2011 03/30(水) 構内の桜の植林がもう咲いているのだけど,どこからも花便りが聞けない年度末.まだ花冷え予想の週間天気.
  ひさびさにブログでホリエモンがリスクとトレードオフについて書 く.原発の問題解決も基本的には放射性同位元素の崩壊の指数の係数に依存する.ジャーナリストに必要なのは危機を煽るのではなく,冷静に指数とべきの違 い,経済学とトレードオフの関係をせめて常識として理解していることだろうと痛切に思う.今日ひさびさにYouTubeで地震当日のNHKのハイビジョン 動画を見る.あまりの津波の規模にまた声を失う.これはやはりいくら頭で理解していても科学研究が人の想像力を越えれない限界を示しているように思えてな らない.科学におけるBlackSwanをあらかじめ予想することの難しさを改めて痛感する.そしてそれを如何にして地学教育につなげるかの果てしない道 はどこまでも伸びて続く.明日も3日連続の代休を入れられた日だけどホリデー・リサーチャーとしては休めない.せいぜいこの間に日頃できない研究を進めね ば.
 計算用のPCの計算を一段落させて昼休みに買いに走ったHDDに再度Ubuntuを入れ直す.今度はちゃんとパーティション設計をしてからの慎重な組み立て.再度日本語化をはかり幾つものアプリケーションを入れて,文字のにじみを取るためのアンチエイリアス切りなど.
 桜の開花の予想図.今年は心配したほど杉花粉でえらい目には合わなかった.寒かったからか.気象庁の1ヵ月予報も寒い予想.地震に関してこんな記事.富士山の宝永噴火が宝永地震の49日後で,
貞観噴火は貞観地震の5年前とか.偶然にしてはできすぎているようにも思える.

2011 03/29(火) 1日画像への文字記入のスクリプト開発.久々に嵌って6時間を費やす.でも解決してよかった.
  今日の嵌りもの:実力派SE諸氏や開発者諸氏には自明のことと思われるが,スクリプトの変数は0始まりの数値を8進数で解釈すると いう基本事項を知らなかったお粗末.連番の津波のレンダリング済みのppmファイルに時間を示す文字をImagemagickで入れようと試みたまでは良 かった.4つほど途中の画像ファイルをつまみ出して,とりあえずスクリプトを走らせたときはちゃんと走ったので,これで終了と連番の0001番から走らせ ると0008番で止まる.
./Tohoku_v8_0006.ppm
./Tohoku_v8_0007.ppm
./Tsunami_number.sh: line 22: 0008: ベースの値には大きすぎます (error token is "0008")
とエラー。これではまる。
http://stackoftips.blog79.fc2.com/blog-entry-14.html
ここにあるとおり、これは8進数の罠!つまりfnameの変数に入る"0008" が8進数では許されないと言っているわけ!まさにタコ足の罠!
ここからさらに半日はまる!!!
http://www.mail-archive.com/bug-bash@gnu.org/msg06356.html
などネット上にやまほど話題はあるが肝心の解決法がない!
printfで定義したりしたが肝心の
    sec=$(echo $fname  | cut -c13-16)
の段階でシェルがどうしても8進数と解釈してしまう。
ゼロサプレスで検索したりと往生したあげく
結局みつけた解決策は
bc コマンドを用いる方法。
http://d.hatena.ne.jp/jitsu102/20091119/1258634572
からのヒント
    sec=$(echo $fname  | cut -c13-16 | bc )
このbcコマンドをはさむだけ! これで見事解決!ここまで6時間!!
いやはや久しぶりにえらい目にあった.こんな簡単なことがこんなに難しいとは思ってもみなかった.偶然解決策を見つけたからいいものの,これは数日はかかるネタだったかも知れない.
 久々に明るいうちに帰宅.慈善サッカーに興ずる.もう少し家長を見たかった.よい試合だった.前半の代表はプレミヤのチームみたいだった.後半はまあ普通のチームになったが.
 今旧来の自宅のPCで津波計算を3本平行して立ち上げた.職場の計算専用(i7-2600,3.4GHz)と比較するため.職場のPCでは3本走らせて pgm画像の作成ペースが1分10秒から20秒といったところ.格子は3200×5200の倍精度実数計算.自宅の旧 PC(Quad6600,2.4GHz)だと大体2分20秒から3分程度というところで計算上は職場の新PCが2倍強の速度であることがわかった.プロ セッサ使用量は64-100%.3本から1本のみの実行にすると約1分ほどとかなり加速する.1本だけの勝負を職場のPCと取る必要がある.

2011 03/28(月) 本当は代休を取りたいけど地学教室の工事が続く年度末で出勤.大学との境の緑地の桜はもう五分咲き.
  今日組み上げたPC.自腹購入の自宅・計算用ということで結局次のスペックと相成った.

2011/03/28 自作PCスペック
CPU CORE i7 2600無印                 24940円(PC1’s)
マザーモード ASRock P67 Pro3              12980円(PC1’s)
グラフィックボード 玄人指向 Radeon RH5670-E1GH/AC   6980円(PC1’s)
メモリ CFD ELIXIR W3U1333Q-4G×2           5980円(Sofmap天王寺特価)
HDD  WesternDigital WD20EARS SATA 2TB バッファ64MB 6450円(PC1’s)
Drive LG BH10NS30 バルクPowerDVD付き (BD書き込み)10860円(PC1’s)
電源 CorePower Core-4 600W              5350円(PC1’s)
ケース Zalman Z9-Plus                 5750円(PC1’s)

計 79290円 とまずまず.
これに三菱の23インチフルHDのモニタ(Amazonで2万弱).しめて10万弱.これで定年後の5年は持つだろう.

組み上げ即完動!今回のケースは3個もファンがついていて出力がパネルで絞れるのが静音に好都合.この価格でつや消し黒の内装やHDDの換装のしやすさなど,CPが高い.
グラボはスペックでは現行の4870とどっこいどっこいかな.まあ値段が安かったので購入.電源が別に不要なのもよい.CPUは別にOCの予定がないので初めからKなしの無印.

マザーボードにOSによっては,2TBのHDDを使うときに何かBIOSの何とかをいじる必要がある云々の英語の紙が入っていたが,Ubuntuではまったく大丈夫.最初から2TBを認識して,セパレーション切りも問題なかった.
今回のHDD(WD製)にもXPでは使えない趣旨の表記があったがこれもまったく問題無し.UbuntuというかLinuxの先見性躍如.

今回 Ubuntu10.10のamd64bit
を初めて入れる.最初英語表記でとまどったが,Ubuntu日本のサイトにある日本語化のレシピで何とか日本語化できた.開発環境を入れてeggxを入れるが,
 Ubuntu 例を以下に示します.
# apt-get install libx11-dev
が必要.さらに,makeで
% ln -sf Makefile.linux64 Makefile← 64-bit Linux の場合
も必要.
あとは
make
sudo make install
でOK.これで現時点では民生用としてはほぼ最速のPCとなったはず.pdfは文書ビューワーで日本語が読める.Adobeの世話は不要.あとまだこれから.

画像にImageMagickで文字を入れる算段.
http://www.asterisk-works.jp/wiki/index.php/ImageMagickメモ
に詳しく書かれている.このあたりスクリプトの妙味.
 さるところから,世界の原発と地震帯地図この議論はやはりこの元NHKのおっさんに軍配を上げる.今回の事故を冷静に見る議論がやがて必要になるだろうが,それまでに何とか幕引きが可能かどうか.世界は不安定な鞍状平面を彷徨う.

2011 03/27(日) さる運動部の合宿の付き添いで慣れない保健室のベッドで寝たので,風邪を引きそうになった
  体育館に昼過ぎまで詰めて,やっと解放されたのでたまった仕事を一気にこなす.まず頼まれていた南アの巡検の原稿をまとめようとその前に中途半端だった WebPageをとりあえず写真入りで草稿完成.あと研究室の10年分の資料の整理など.古い資料を捨てる.あとこのところ漁ったパーツ類の取り付けや Ubuntuの新規インストールの段取り.さらにそろそろ1ヶ月を切ってしまった米国研修の準備など.
 自宅に安い液晶モニタを新調することに.これで2台を平行して置いて使えそう.1台はやっと数値計算専用ということで,Ubuntu64bitにする予定なのだが.

2011 03/24(木) ようやく本業が一段落で,気がつけば花粉の季節,柏原の大学キャンパスでくしゃみの連続
  津波の計算のあまりの遅さに業を煮やして,PCの更新を考え,久々にパーツ類を漁る.まずはケースを新調しようと考える.今回は自宅のPCなので各種予算 は取れず自前の更新となりそう.帰りに日本橋に寄るとPCケースも新しいデザインが出ているのに驚く.CPUだけは今回はいつもと異なりちょっと奮発しよ うかと考える.現在計算中のコードは画面表示を全部削ってひたすら計算結果をpgmファイルに落とす形にしたらかなり速度は改善.それでも 3200×5200格子はちょっと破格の計算でやはり時間がかかる.色々と速度を上げるテクニックはあるだろうけどあまり特別なことはしたくない.あと Ubuntuをせっかくのメモリ安に対応して4Gの壁を乗り越えるべく,64bitに上げようと画策.これは数日前に書いたか.あと先週末に締切りが過ぎ てしまったさる科学賞の原稿のチェックなど.年度末で書類を捨てる処理に追われる.地学教室も突然の工事予告で,地学部生に古い資料の整理を頼む.まだご ちゃごちゃと雑用で伸びる年度末.

2011 03/22(火) 高1の特別授業終了.やっつけで準備したわりにはこちらの勉強になった.巨大な地震と対峙する難しさが論点.
  地震の巨大さと我々の予測の範囲の話がメイン.Mの定義などにも触れる.あと津波のSimの紹介など.貞観地震の規模について,津波堆積物などからの推定 されたM8.5は津波堆積物の範囲推定が難しく(直上のテフラを基準に判断するとのこと),現時点でのミニマムの値だとさる方から教えていただく.歴史地 震の評価の難しさを納得.とすると5000年に一度という私の評価も怪しくなる.
 しばらく原発に気を取られていて,被災した人々の記憶が薄れる.しかしこの膨大な喪失感を埋めてくれるのは唯一村上春樹の文学しかないように思えてき た.ぜひ彼には数年後この地震を題材とする小説を書いてほしいと切に願う.タレブの「まぐれ本」,そろそろ終了間際.ランダムさのとらえ方が大変参考に なった.この線をしばらく追求していきたい.もう約1ヶ月に迫った米国研修の予算関連のFaxを送付.なかなか交流事業というのは一筋縄では行かない.こ れで明日の終業式が終わるとすこし時間が取れるはずなのだけど.

2011 03/21(月) 土日をややだらだら過ごす.まだ原発事故の行方が定まっていないためどうしてもニュースを見てしまう.
  とりあえず津波Simの計算結果をレンダリング.断層変位を初期値にしたため,瀬戸内で波がさざめく.これをゆっくりした変動に変えることを検討.とりあ えず連続レンダリングを掛けているので他のことは手持ち無沙汰.新しい計算環境を作ろうかと昨日家族の買い物のついでに日本橋を久々に訪れる.いつもなが らの活況.チップセットを修正したP76,H67マザーも出ていて値段をチェック.これらを元に今日朝から次世代機のスペックを検討.とりあえずマザーは P67でこのあたりが適当かと.本当はIE1394もほしいのだけど仕方ないか.CPUは検討したあげくi7 2600無印.やはり2500とのベンチマーク差は埋めがたし.グラボは現在のHD4870をベンチマークで2倍を越えるものがまだ出ていないので今回は遠慮する.
 あとUbuntuを64bitにしたときのメリットを少し調べ中.このあたりに数値計算のTipsがある.これこれを見るとeggxでの64bit計算は特に問題なさそうなので,これをしおに64bitに移行してもよいかも.
 どうも専門家を中心に今回の地震が想定外か想定内かで論争が始まりつつある.当然想定内派のこの方の主張.非線形物理まで登場.私も不思議に思った今回のMの7.9からの増大の経緯を同じ立場のこの方の説明.これ実は私が今回大変不思議に思っていたことなのだ,未だに気象庁からのきちんとした説明はないような.あと緊急地震速報を受け取るTVの側にもこんな操作.私は残念ながら今回の地震こそが「ブラックスワン」の典型だと思う.人が過去から学ぶパターンをはるかに乗り越えた災害がたぶん5000年に一度の災害として生じていると考える.1000年に一度という指摘はたぶん
貞観地震(じょうがんじしん)を念頭に置いていると思うが,その推定Mと震源域は今回よりはるかに小さいこれ,その後さる方から,M8.5というのは下限で,津波堆積物の分布の全容はまだわからないのでもっと大きい可能性があることを示唆された,上の3/22の記述参照.3月24日).人間のパターン生成に陥り易い罠に専門家も政府も国民もみんなはまり込んでいたというのが私の認識である.政府の地震調査推進本部の東北地方のレポートに はやはり宮城県沖地震とそれが周囲に連動するかどうかのコラムは載っている.しかしどう考えてもこれらの推論から東北を縦断する超巨大地震の発想が出てく るはずがない.それが2010年末での地震に関する科学の限界と人間のパターン思考の限界と見るのは仕方ないように思えてくる.むしろトレーダーとして百 戦錬磨のナシム・タレブがいみじくも指摘した「人間の脳のパターン形成」の欠陥を改めて見直すことは現時点でとても重要だと考える.

2011 03/18(金) 浪人生の合格報告と関東の大学在籍組の帰阪とが重なってややこしい.本業が佳境で多忙な1日.
  多忙な本業を縫って,津波の資料に目を通す.宝永津波の断層モデルを探して,彷徨う.本家ではないが,孫引きがこれとかこれにある.とりあえず適当のパラメータを設定して走らせるがなかなかうまく断層が地図と合わないのを調整.無理やり1枚ものの断層に置く.津波の浅海方程式の導入を丁寧に書いてあるのはこのサイト.あともっと高校生にもわかるようにma=Fの形から説明してあるのがこのページ. あとそこら中でまき散らされるつぶやきなるサイトに何か役にたつものがあった試しがない.まるで村の地蔵群のようなこれらの自己満足のつぶやきたちをどう 評価したらいいのだろうかと思う.リビア情勢も急を告げているが,まずは原発事故の現場で死に物狂いで奮闘する技術者の努力が報いられることを祈る.久々 に土日連休を完全休みの予定.

2011 03/17(木) 今日も小雪の舞う昼間,々首都圏から帰阪する卒業生に会う.そんなに住みずらいのかと思うのだが.
  昨日,高1の学年主任に地震の特別授業を要請されて,夜あわててシミュレーション画像のレンダリングの準備.朝出来上がっていてこれを勤務先で動画化.何 とか午後の授業に間に合う.朝は朝でSSHの授業で「ブラックスワン」をひとくさり.関連して1000年に一度の地震という表現は誤り.5000年に一度 と言い換えなければいけないなど.昼ALTの先生にいやーすごい地震だねと言われて,これがSo called the Black Swan.と返す.久々に師匠のサイトが更新されている.このサイトに紹介のシソウを装うブンカジンたちの行状を見るにつけ,今も不眠不休でマニュアルに載らない対処にあたる東電と協力企業の現場社員を思う.
 先日の某大工学部の電池の専門家との対話.人間1人あたり文明国では1kwが必要.太陽エネルギは1平方メートル1kwだが,現在の太陽電池の歩留まり は1/10.これに日照時間の3/24がかかるという話.どだい文明国では太陽電池はエネルギー源としてはまだまだだが,これが発展途上国になると様変わ りするという話.また理学部はthe firstを目指すが工学部はthe bestを目ざすという話.どちらも良かった.さらに有効数字は時と場合によっては1桁でもよい.トータルのオーダーが大事などさすがに現場を知っている 人の話は違うととても納得.別の化学系の研究室も見学したがその折,きれいに片付けられた研究室を見て同行した院生が自分の研究室との違いに感心.
 あと津波Sim画像に経過時間を入れたいと探す.どうもconvertコマンドでできそう.これらがこの連休の仕事となりそう.

2011 03/15(火) 浪人生から東京受験でえらい目に会った話を聞く.今の関西の平和は神戸のときの東京の感覚なのか.
  朝から旧知の大学研究室に生徒を4名研修の打ち合わせで預けに行く.春休みなのに乗客が多いので驚いていると,どうやら入学手続きの日で時計台前の広場に はテントが立ち並び各サークルの勧誘がひっきりなしとか.のどかな関西の大学の風景.大学の就活の現状を聞いて,それならいっそ大学3年の就活を止めて, 企業の人事担当者が総出で震災ボランティアを幾つも立ち上げ,就活予定の学生をみんな被災地に招き入れて手伝わせればよいと思った.短い面接ではなく,住 居をともにして学生の仕事ぶりを見れば使える学生かどうかはすぐわかる.これを至急に提案したいのだけれど.どこかの企業の人事の人は見ていないだろう な.
 直帰で少し早く帰宅.津波Simの続き.PCのそこら中に断片的に残している古い計算やメモを元に一旦計算コードを整理する.どれも慌てて作ったもので 後での可読性が極めて悪い.ループ変数の定義のおかしいところなども目につく.とりあえず今日は少し時間があるので徹底的に整理.計算は13日夜に始めて 2日間でようやく2時間弱分というところか.3200×5200という巨大格子なので時間がかかる.まだ仙台市平野部には達していない.線描画を止めて直 接pgmに落とす書き方とした.また計算モニタも簡単なドット表示とした.とりあえずpgmから普通の波高テキストファイルへの逆計算は可能な形にしてあ る.このあたりは一度整理したいのだけど.とりあえず資料を探す.この資料によると,太平洋側に突き出した部分では引きではなく押し波から始まっている.震源域の隆起部が陸側に伸びていたことがよくわかる.

2011 03/13(日) 千年に一度の稀な現象も生じてしまえばただの歴史となっていく.タレブの言葉をかみしめる現在.
  推移を固唾を飲んで見守るしかない瞬間というのが人生に何度かあるのだけど,今その稀有な瞬間に立ち会っているのだという実感.一度目はキューバ危機,2 度目は神戸の地震.3度目が今か.このうち2つが地震というのもやはり日本列島の宿命.今も懸命に原子炉の冷却に携わっている技術者のことを思う.それに しても毎度のことながら一部マスコミの報道姿勢は本当にひどい.一生バラエティとワイドショーをやっていればいいのだ.あの2chでさえ,まともなコメン トが並んでいる.2ch以下のマスゴミよりはるかに普通の人々の常識の方が上だったということが改めてよくわかった.
 神戸の地震と違うのは,神戸の地震は本当に不意打ちで,建物崩壊で亡くなる方がほとんどだった.仮に地学の知識があったとしてもある意味不可避だったよ うに思う.しかし今回の津波の被害は断じて異なる.大地震で巨大な津波が来るという地震学の常識がいかに一般の人々にきちんと伝わっていないかの実証を情 けないことに,このように1000年に一度の未曾有の悲劇によってしか確認できない我々(地震の研究やその一般普及に少しでも携わるもの)の責任だったと 思う.
 仕方なく昨日から古い津波のソースコードと格闘を始めた.もうすでに古村さんや佐竹さんが作られているのだが,地学教育の意地にかけて自分版を作成しなければと始めた.ここにももう一人の専門家の解析とコメントが.国土地理院の電子地図の当該地域
 地震でわかったことは公衆電話やラジオ,旧型石油ストーブと言ったレガシーのインフラが未だ役立つということ.考えてみると神戸のときはまだ携帯が今ほ ど普及してなかったのだ.それとTVだけの見ていての判断なのでどこまで正しいかわからないが,この危機にあって,人々が恐ろしく冷静で秩序だっているこ とに驚く.それがある種の日本人の震災慣れなのかどうかはわからないが,こんなコメントを書いている人がいる.
 金曜日の午後,ようやく長距離徒歩が終わってほっと一息で,職場で溜まったメールへの返信を書いていて,ふいにひどい眩暈がした.あれっ,ほとんど徹夜 で歩いた後遺症で脳に何か損傷かと,心配になり,あわてて地学教室で片付けをしていた地学部員の側へ行こうとしたとき,彼らが揺れてます!と研究室に駆け 込んできた.眩暈ではなく,長周期の揺れだったのだ.見れば教室の上から吊った電源ケーブルが揺れている.慌てて大型TVをつけてあとは報道されたとお り.地学の教師をしていてまさか自分の在職中にこんな大きな津波のリアルタイムの空撮映像を見るとは思いも寄らなかった.放課後の中学生も駆けつけてき て,教室はリアルタイムの津波モニターになった.NHKの空撮の画像を見ながら,末恐ろしい地震になったと思い地学部の生徒と話す.そんな記憶が今甦って きた.人が多数おそらく津波に巻き込まれている瞬間をヘリの望遠のカメラはまるでアフガンの米軍の爆撃機からの俯瞰のようにたんたんとビデオに収めてい く.それは不思議な感覚でおそらく一生忘れ得ないだろう.それを部員の生徒がどのように感じたか.彼はたしか医学部志望だったはず.
 ニューヨークタイムスの同情と賞賛の記事.

2011 03/10(木) 明日香路から柳生を通って笠置まで,30時間70.8kmの回峰行に参加.高齢完歩の記録更新?
  下見と本番を通して雪にたたられた長距離徒歩であったが,大勢の教員の完歩やサポートに支えられて無事終了.こんな素晴らしい文化に職場で参加できるだけ で幸せである.世の中評価とかコンプライアンスとか効率とかいいかげんな連中が唱えたうさんくさい概念が闊歩する中で本当に参加したものが経験として血と なり肉として消化できるイベントはそれほどない.そんな稀有な行事に参加でき無事全行程を歩き切れたことに感謝したい.生徒スタッフの熱意とこちらのサ ポートの意気込みが久々に見事に共鳴した瞬間を作れたことにまずは感謝.夜中のバン型の車の後ろで付き添い教員の世話をするいつもの光景は職場の文化とし ていつまでも受け継いでほしい.そんな印象深い夜だった.まさかと思った雪はさる溜池の湖畔を一時白くするほど降った.盆地の夜の研ぎ澄まされた大気の神 々しさをいつまでも忘れないように記憶の底に留めたい,そんな夜だった.
 今回の徒歩の勝因の一つは靴の選択にあった.いつもの登山靴やスポーツシューズではなく,ウオーキング用の通勤に使っている柔らかい革の靴を履いたのが 大正解.結局前回の完歩では直径数cmの水ぶくれを両足に作ったのに,今回は数mmのものだけ.足にフィットした靴はとても大事.この靴を毎年の徒歩用に キープして別の通勤用の靴を買う予定.

2011 03/08(火) 弱い冬型に戻った昼時,退職する助手さんに買った花束が風になびくのを自転車で慎重に持って帰る.
  昨夕カンニングで話題のK大に通う卒業生と語る.昔なら全教員が連名で「受験者諸君に告ぐ!大学は卑怯な手段で入学するような場所ではない!」と多分アピー ルくらい出しただろうと年寄りの昔話をする.本業が次第に片付きつつあるなか,それとは逆に外からの仕事がだんだんたまり出す.なかなか身軽になれない早 春.明日から長距離徒歩.午後,今年も駄目だったと泣きついてきた浪人生の小論文を見る.やはりサンデルが出題されていた.これだけは予想が当たった.私 の趣味ならタレブを出題してほしいな.それにしても予備校の小論文指導書なるものがあるのに驚く.そのまた驚くほど陳腐な内容に笑ってしまう.今時就活の 人たちもこれと同じような陳腐なマニュアルで装っているのかと思うと薄ら寒くなる.個性とか多様性とか自主性とか言う前にこんな陳腐なマニュアルの内容を 疑わない今時の大人たちの感性をよほど疑った方がいいのではと思う.そういえば街にやたら増えた名札をつけた人々のことを思う.そんなに名札が重要なのだ ろうか.というより名札を強制する社会を疑った方がよくないか?コンプライアンスなどという元々日本社会にはなかった外国語が幅を利かす世の中を疑った方 がよいということだ.コンプライアンスばかり気にして肝心のモラルが低下する社会を疑う.こうした構造が至るところで露呈してきた社会は多分疑った方がよ いということだと,ひさかたぶりにJACKSの「ラブジェネレーション」などを思い出す.夜プレミヤダイジェスト.「Wの悲劇」ならぬ4Wの降格争い.降格があるという世界は多分スポーツ文化として健全なのだろうなと降格のないプロ野球をふと思う.さて明日からの行に備えて今宵はよく眠ることに.

2011 03/06(日) 菜種梅雨のような雨が数日おきに降る昨今.昨日は未明の冷え込みをもろともせずに海方面で休息.
  昨日未明に起きたので,今日は10時までうとうと.その夢の中で,脳細胞は有限なのになぜ記憶は無限に近くあるのかというテーマを記憶の「砂山モデル」で 説明している自分が居た.つまり有限な砂山の崩壊が記憶だと考えると,有限な砂から無限の組み合わせの記憶が存在できるという内容で慌てて起きて調べたが これに言及する学説はなかった.記憶の砂山モデルというのもまんざらでないなと朝から思った.あと関連でがんと闘う方ののblogでがんはべき分布だか ら,一般的な治療法は確立できない.予想外の治りかたとする可能性があると自分で理論づけをされている方のサイトにたどり着く.なるほど一理あると思った.

2011 03/03(水) 雨のあとは寒くなり,今日は昼間雪が舞う.3月といえども春まだ遠い風情に逆戻り.
  昨夜,久々に長居にセレッソ戦.ところがインドネシアのクラブチーム相手にこのところ見た中では最低の出来.何かJ2の頃を見ているような.これでは開幕 ガンバ戦はおろか,しばしJ1で低迷の心配.何せマルチネス以外に中盤で打開する選手が一人もいない.やはり家長とアドリアーノの抜けた穴は大きい.もう 悪いけど7番は論外.よほど清武の方がいい動き.ちょっとこれは開幕からしんどそう.
 そのサッカーの話を今日体育の若手Mくんに話すと,彼曰くモウリーニョがフラクタルとかカオスとかのサッカー理論を言っているとか.さっそく帰ってきて調べる.どうもこれみたい.ここにも.ということでリンク先の論文なるものを見てみる.PDCA(Plan-Do-Check-Action)という有名な管理手法  などと書かれている時点でもうかなりうさんくささを感じるのだが−−.うーんこの種の経営学というのはどうも経済学よりもさらに森の奥という印象.参考文 献も何だかな−.文系の感覚で「複雑系」を捉える典型とでも言えるのだろうか.まあちゃんと読んでいないのであまり失礼なことは書けないのだが.12pの 非線形科学の捉えかたは完全な間違いのような.ただ,ぱらぱらと今見てみると理系の論文の書き方とまるで違うことと,一部の教育系の論文の書き方によく似 ていることなどを発見.「コンセプト」とか「サブコンセプト」とかいう概念がやたら出てくる.これどこかで聞いたことのあるシステムとかサブシステムとか いうのと極似.ただ単なるコーンを規則的に置いたジグザグドリブルを避けるとか,ようするにサッカーの技術をトラップとかパスとか要素に分けてそればかり 鍛えるみたいなのはだめよと言っているところは良く分かる.理系の論文としてはダメ出しだらけなのだが,この業界の論文としてはこれでいいのか.

2011 03/01(火) 雨音時折激しく響く体育館で卒業式.野球部元キャプテンの涙ながらの後輩へのエールに会場もしんみり.
  昨日の卒業式.元サッカー部FW3年のI君の話も良かった.本当は弱い自分を精一杯隠していたのだと,触れたくない自分の過去を涙ながらに語れる雰囲気. 先輩の一語一語を固唾を飲んで聞こうとするそうした雰囲気を醸し出せた集団こそが本当に強い集団なのだと久々に感動した.校舎主任の「試験監督のいない学校」を巡る「教育とはユートピアを実現すること」であるという講話もまた当を得たもので良かった.午後は某企画の報告書作成会議で忙殺.
 打って替わって今日から年度末のテストに入る.某大学の入試騒動に思う.
どうやってカンニングしたかの技術論やら犯罪論ばかり.そこまでして有名大学に入ってそれで嬉しいのかと.それを指摘するマスコミは皆無.あんたらこそもう一度本当の意味の勉強,し直したらと思うことしきり.
 ちょっとSFIを訪ねたら,wordquakeという記事を見つける.元論文はこれ.要するに何らかの事件のごとにblogの書き込みのキーワード検索の総数がG-R則ライクになるという話.またその勢いの減衰はOmoriの余震公式にしたがうというもの.internetquakeという言葉もある.何でも地震に擬することができるのかという話.まさかと思ったらevolution earthquakeまでありました!いやこれはstress evolutionとかかるのが本当か.断層ネットでの歪みの蓄積を重力変化で見ようという試みに関する論文みたい.〜10 to 80μGalというのはかなり小さい量?


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