ヘルムホルツコイルの役割(気象庁地磁気観測所の徳本さん,外谷さんによる解説文 です)  2010年3月4日

磁力計の感度測定の検査などに使います。

1対のコ イルが東西、南北、上下方向に3組セットされています。コイルに電流を流して中心部に人工的に磁場を作ります。そのために正確なコイルの形状(コイル 常数)と正確な電流発生器(定電流装置)を備えています。その他の役割としては、三軸を備えた測器の直交度の測定や地磁気変化の補正などいろいろありま す。

人工的な磁場を作るには、永久磁石を使う方法とコイルに電流を流して作る方法があります。

永久磁石で正確な磁場を作るのはなかなか難しいことですが、コイルによる方法ではコイルの形状と電流の大きさで正確な 磁場が作れることから広く用いられています。

ヘルムホルツコイルとは、1対の円形コイルをその半径だけ間隔を開けて平行に並べたもので、その中心に一様で精度の高 い磁場が作られます。磁力計は数十センチ程度の大きさを持っていますから、磁力計の大きさぐ らいの、一様で歪みのない磁場が必要です。1本の円形コイルでも磁場を作ることはできますが、より広い一様磁場を作るために2本を組み合わせたヘルムホ ルツコイルを使用しています。当所では4(2)のコイルを使って、より効率的に一様磁場を作るものもあります(ファンスローコイル)。地磁気測器にはよく使わ れています。ジャングルジムのように思われたものも円形ではないのですが、これもヘルムホルツコイルで、東西、南北、上下の3対が組まれたものです。部屋 の大きさの制限から、円形では大きくなってしまうので四角いコイルで作られました.