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犬山観測所は日本ラインの入り口から少し山に入ったところにあります.この日はわざわざ普段は閉まってい
る道路の門の鍵を空けていただいて観測所にお邪魔することになりました.最大6名のスタッフが居た時代もあるそうですが現在は無人となってしまいました.
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かつては栄華を誇った研究室で地震計や重力計の記録を見せていただいて,話をうかがう我々.大変地道なし
かし素晴らしい精度の観測であることが
わかりました.
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これは以前に使っていた記録紙を巻くドラムです.煤書きの時代からのものだそうです.記録する針はLPレ
コード用のダイヤモンド針が最適であったとか.そんな所にも良い記録をとるための大変な苦労があったことがわかります.
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これはやや長周期の上下動地震計のようです.
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さてまず2つある壕のうち,ひずみ計と水準計が置いてある深い方の壕の中に入れてもらいました.
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トンネルの内部は何枚もの扉をくぐって入ります.外部の温度変化を持ち込まないための工夫です.それでも
人間が入るとその発熱で数週間も記録が影響を受けるそうです.
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こちらは石英管伸縮計(右)と水管傾斜計(左)です.壕の内部は1/100度の温度変化しかないそうです
が,水が入ってくるのでそれがノイズの原因になるです.
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伸縮計は蛍光灯の管のような石英ガラスの筒を溶接して30mの長さにつないでいるそうです.その管を細い
ワイヤーでV字型に吊ってあります.服のそででさわらないように気をつけました. |
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こちらは伸縮計のセンサー部.片一方の端が地面に固定してあって,こちら側の端は地面から浮かせてあっ
て,地面との相対変位を見ています.
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こちらは水管傾斜計のセンサー部です.水面の変位を電気的に測定しています.これらはいわば古典的な地殻
変動測定器です. |
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それに対してこちらは新世代のレーザー伸縮計です.レーザー光の往復距離(10m)で地殻のひずみを計る
ものです.ただレーザー光の波長は温度に依存するので,恒温にする回路が大変だそうです.また光路を真空にするためのパイプを蛇腹でどうつけるかも難しい
との話でした.それでもちゃんと完成すると石英棒より3桁は精度が上がるとの話です.
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こちらはもう一つの浅い方の壕に安置されている超伝導重力計です.左の本体はまずポンプを用いて電気的に
-200度に冷やしたあと,その内部を液体ヘリウムを用いて-4.4度に保つとか.ポンプが止まると10日位でヘリウムが気化してなくなるそうで,ポンプ
が動いているかどうかを左の電話にリモートでかけて写真の受話器でポンプの音を聞いてモニターするそうです.スーパーローテクですが素晴らしい発想だと思
いました.
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