<加太海岸の和泉層群>
中3行事 磯観察の付き添いで和歌山県の加太海岸に行ってきました.生徒が磯観察に熱中する間に海岸の地層の観察をしました.2003.05/01

加太の海食台全景.ここは満潮時には波の下に?はるか向こうに見えるのは釣りで有名な大波止.地層が傾いたまま波で削られたので,地層の層理面がまっすぐ向こうに伸びています.この方向が走向の方向です.
逆に海の方からみるとこんな具合.出っぱっているのは砂岩,凹んでいるのは泥岩の部分です.まぜこんな風になっているのでしょうか?
よく見ると少し地層が横にずれているように見えませんか?これはなぜでしょうか?
加太海岸は和泉山脈が紀伊水道にもっとも突き出したところにあります.潮の流れの速い瀬戸をはさんで,向こうに友が島が見えます.
地層に近づいて見るとこのように本を積み重ねたように地層が傾いて続いています.砂と泥の層が交互に積み重なっていて砂泥互層と呼ばれています.この地層は和泉山脈や淡路島の南部,四国にも帯状に分布していて「和泉層群」と呼ばれています.ここではあまり見られませんが他の地域で産する化石から,中生代白亜紀の最末期の地層(約6500万年前)と考えられています.
別の角度からみるとこんな感じです.砂岩の部分は侵食に強くてでっぱっています.この続きの地層からはモササウルスなどの海成恐竜の歯や骨らしいいものも見つかっています.恐竜やアンモナイトが絶滅する寸前の時代の地層と考えられています.うまくするとこの加太でも,化石がみつかるかも知れませんね.
さてこのでっぱった砂岩層の裏側に近づいてみます.
何やら模様が見えます.何に見えますか?
水の流れた跡のようです.これはこの砂泥互層の出来かたと関係しています.これらの砂泥の地層は,海の深さが変化してできたのではなく,一連の海の中の地滑り(乱泥流や混濁流と呼ばれる)が砂と泥の1セットの地層を作ると考えられています.したがって浅い海というよりは,海溝のような深い海に二次的に堆積したものと考えられます.
先に砂がたまったあと,ゆっくりと泥岩が時間をかけて堆積していき,また何百年か何千年あとに次の乱泥流がその泥の表面をかすめていったときの流れのあとが,そのとき先に堆積した砂により形どられたと考えるとこの模様の出き方が説明できるように思われますが,どうでしょうか?水流の方向が想像できますか?
砂岩もよく観察すると上下で微妙に砂粒の大きさが違います.「級化層」と呼ばれ,乱泥流堆積物によく観察される現象です.
これはどちらが地層の上下か分りますか?
ここだけ少し地層が褶曲しているように見えますが,上下の地層までは影響が及んでいません.「層内褶曲」と呼ばれ,堆積時に地層が変形したものと考えられます.
ここでは砂岩層がよくみると少しずれていますね.地層の中の小さな断層です.どのようにずれているか分りますか?
中央部の砂岩は少し色が白っぽくなっています.なぜでしょうか?
反対側(海側)からみたところ.
こんな感じで泥岩も随分白っぽい色をしています.また割れ方も少し違います.これはなぜでしょうか?どうもこれは火山灰の成分をたくさん含んでいるようです.凝灰岩と呼んだ方がよいかも知れません.地層の堆積時にあたりで火山活動があり,その火山灰が海の中に堆積したものと考えられます.
この泥岩の裏側にもなにやら不思議な模様がありました.この白い火山灰はハワイのような玄武岩の火山の灰とは色が違います.むしろ有珠山や雲仙など陸上のデーサイト質や流紋岩質の火山灰に色が似ていますね.その当時,この地層の堆積した海や陸はどのような環境下にあったのか想像してみてください.

せっかく磯観察にきたので,磯の生物をパチリ.何でしょう?
もうひとつこれも有名ですね.