高校1年生用の授業参考ページ(授業での話をさらに深く知りたい人向けに作りました)  Last update on 10.Dec.2007
リンク先はネットで検索したサイトの情報です.一部私のサイトのものを含みます.


たぶん1月

北京原人発見秘話は下記を参考に


試験にでない地学 Series  2001年初冬の号

    1908年11月25日中国の河北省の農村の貧しい家に生まれた賈蘭坡は成績は優秀だったが,高校を出るとすぐに働かなければならなかった.その 後の彼は図書館に通い独学を志す.やがて,中国地質調査所の試験に合格した後,地質調査の下働きをしながらさらに考古学や古生物学を苦学した.1936年 北京近郊周口店で幸運はやってきた.発掘団に加わっていた彼は偶然化石人骨を発見した.北京原人のほぼ完全な頭骨発見の瞬間である.打製石器を造り,猟や 果実を採集し,火を利用する彼らの姿がやがて明らかになっていく−−−.
   そもそも周口店のような石灰岩地帯の洞窟はこのような化石人骨の保存に適していると言われる.石灰岩の風化土壌に含まれる豊富なカルシウム分が土中 の化石の成分を置換し,補強するからだと言われる.日本でもかつて三ケ日人,葛生人など石灰岩洞窟にまつわる化石人骨がとりざたされたことがあった.さ て,くだんの北京原人の化石は不完全な1個をのぞいて現存していない.戦乱を恐れた中国当局が米国に移送する途中で,紛失したとされ,当時の日本軍の関与 も疑われている.そしていまだに20世紀のミステリーの1つに数えられている.そういえば,日本の原人の方も例の旧石器捏造事件以来,信用度が低下してし まった.葛生原人は動物の骨と15世紀の人骨,三ケ日人は縄文人の疑いが強いと最近の新聞は伝えている.
   さて大学者となった賈蘭坡は90才を過ぎて亡くなるまで,消えた「国宝」である北京原人の骨の行方を探し続けた.北京原人に一生を捧げた彼の遺骨は 一部は生家のそばに,そして残りは北京原人の故郷,周口店の竜骨山に埋められたという.(この稿
http://peopleschina.com/maindoc/html/200111/zhuanwen-3.htm
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/archive/199912/02/1202e008-400.htmlな どの記述を参考にした)

    −−−どれほど変形した死者も眼さえ開いていなければ私をおびやかさない.−−−「輝ける闇」開高健より


12月上旬
K/T境界の隕石衝突説は最初に唱えたAlvarez親子の話は下記を参考に


試験にでない地学 Series  2002年春待ち号 
    1945年8月6日早朝,広島へ向かうエノラゲイに伴走する飛行機に,後にノーベル賞に輝くことになる若き原子物理学者Luis Alvarezはデータ収集のために搭乗していた.ミッションが終わって基地に帰りつくなり彼は,まだ幼い彼の4才の息子に大きくなれば読むようにと手紙 を書いた.What regrets I have about being a party to killing and maiming thousands of Japanese civilians this morning -----.
    この35年後の1980年,地質学者となった息子Walterは父とともに雑誌「Science」に長文の論文を投稿する.イタリアのK-T境界(白亜紀 と第三紀の境界)の泥岩層に濃集するイリジウムの成因を巨大隕石の落下による凡地球規模の災いによるものと推測したものだった.恐竜やアンモナイトの絶滅 を巡って古来数多くの説が展開されてきたが,Alvarez親子の論文は大きな衝撃を与えた.以来彼らの説を巡る争いは学会を巻き込む壮絶なバトルへと展 開する.伝統的な地質学者達はHuttonやLyellが唱えた「斉一説」(つまり地学現象は身近に見られるようなゆっくりとした現象が積み重なって大き な変化をもたらす)を信奉していたが,彼らの説はそれへのいわば宣戦布告だったからである.ともあれ,1990年にメキシコ沖で発見された巨大クレーター の痕跡は彼らの説の勝利を裏付けた.”Giant Impact”−−巨大隕石の落下により逃げ惑う恐竜たちのカタストロフを老Alvarezは,若い頃目に焼き付いたヒロシマの上空に炸裂した閃光と屹立 するきのこ雲から連想したのだろうか?(Night Comes to the Cretaceous/J.L.Powelの記述を参考にした)

    ---それは初めから知っていたのだ.すべて火と燃えるものは遂には燃え尽きて,黒々とした夜しかあとには残らないことを.「死の島」福永武彦より.


11月下旬

始祖鳥の発見については下記の文章を参考に.


試験に出ない地学Series2004年木枯らし号
 ドイツ南部の丘陵地がアルプスに向かってゆるやかに標高を高める場所に位置するゾルンホーヘンは,良質の板状石灰岩を産することで有名だった.古くローマ時代はこれをローマに通じる道路の敷石や建物の建材として用いた.ルネサンス以後,そのガラスのように緻密な表面は石版印刷用の石板として重宝された.またその石灰質の堆積物は,遠くジュラ紀の暖かい沼沢地(ラグーン)に堆積したと考えられ,古代より保存のよい化石を産することでも有名であった.その石切場の一角で1861年始祖鳥は発見された.C.Darwinが論争を巻き起こした「種の起源」の出版のわずか2年後である.早速Darwinの番犬と称されたT.Huxreyら がこの化石の意義に気づく.この化石こそ進化論の証拠となるべき 重要な化石であると.その後,現在に至るまで確認された始祖鳥の 化石は羽毛の印象のみのものを含めて8体ある.有名なのは発掘順 で2つ目のLondon標本と3つ目のBerlin標本である. 特に後者は完全な頭骨を保存し,羽毛の跡が信じられないくらいきれい に残っていた.最初の標本をLondonに買い取られてしまったドイツは威信を賭けて,当時の金で20000ドイツマルクを持ち主の研究者に支払い,博物館に買い取ったという.現在,この化石を発見当時のF.Foyle(天文学者,定常宇宙論で有名)の疑念のように,Fake(贋物)だという研究者はほとんどいない.しかし今も,頑強に進化論を否定する創造論者(聖書に描かれた天地創造が真実だと主張する人たち)には,この化石を贋物だと論評する人が後をたたない.それほどこの化石の発見が進化論のその後の論議に与えた影響が大きかったということか.ともあれ日本では想像つかないが,米国の科学教育の議論ではこの進化論者(Evolutionalism)と創造論者(Creationalism)がしばしば対 立する場面が見られる.米国の宗教観の特異な一端がここに覗いて いる.
(この稿http: //homepage1.nifty.com/archaeo/dinobird/shisochou.html
 http://www.talkorigins.org/faqs/archaeopteryx/info.html  などを参考にした.05Dec.2004)

----その鳥は夜も光かがやき,この地上のすべてのことを知っている神の使い だという--- 手塚治虫「火の鳥4,鳳凰編」より


11月5日「地球の歴史」に関して
下記サイトに三葉虫のペーパークラフトがあります.(上が日本語版,下は英語版のものです)
http://www.c-able.ne.jp/~aiojhs/kabuto/kwork/index.html
http://jclahr.com/alaska/aeic/taurho/trilobit.pdf
興味のある人は作ってみてはどうかな?

Wonderful Lifeの映画,邦訳名は「素 晴らしき哉、人生」DVDは私が持っています.この名で検索するとこの映画のあらすじや感想などこれも一杯ヒットします.
この映画の簡単なあらすじと感想は下記のサイトが参考になります.
http://yaplog.jp/kazupon/archive/45
またこのあたりの話については下記の文章を参考に.

試験に出ない地学Series  2005年中秋号

 1909年の夏,あたりで多産する三葉虫の化石の箱と,妻を載せた馬が降り出した雪のために足を滑らせ,偶然,その山道の傍らに奇妙な軟体部を持つ化石 が発見される.C・D・ウオルコットによるバージェス動物群の最初の発見はそう語られている.しかし,米国を代表する古生物学者で「ワンダフルライフ」に よりこの奇妙な生物群を世界に知らしめた,S・J・グールドはその本のなかで,ウオルコットの当時の日記を引きながら,この逸話が嘘であると語っている. また辛辣な言葉で何度もウオルコットの研究姿勢や分類の仕方をこっぴどく批判している.発見の真相は知るべくもないが,その後,ウオルコットは家族を動員 してこの化石を一心に発掘する.やがて7万点にのぼる化石を発掘,最後の人生をその分類と保管に費やす.しかし彼の死後,奇妙なことに彼の膨大なコレク ションは60年間もスミソニアン博物館の倉庫の引き出しのなかに封印されたかのように忘れ去られる−−−.
 1970年代に至って,この封印を最初に解いたのはケンブリッジ大学の三葉虫の専門家H・ウィッチントンと彼の研究室に配属されたばかりの若い2人の大 学院生,コンウエイ・モリスとデレク・ブリッグス.彼らはフィールドというより,むしろ博物館の引き出しにしまわれたウオルコットの化石に再び光を当て, 歯医者用のドリルを駆使して精緻な再研究を開始する.そしてこのおそるべき「カンブリア爆発」の証拠を次々と論証していく.5つの眼を持つオパビニア,エ ビとクラゲの2種類の動物とされていたアノマロカリスなどおなじみの顔ぶれが復元されるのにそんなに時間はかからなかった.−−映画「ワンダフルライフ」 は他人思いの主人公が最後は人に騙されて商売に失敗し,絶望の中で町外れの橋から身を投げようとする.それをまだ見習いの二級天使が助ける.「自分の人生 なんて何の価値もないのだ」と嘆く主人公に,それでは君のいなかった町を見せてあげようと,天使は別のおぞましい町の風景を見せる.君のおかげでこんなに 町は賑わってきた,君の人生がどんなに人に役だったのかを分かってほしいと−−−.
 グールドは,人知れず滅んで行ったバージェスの動物たちに,おまえたちはこんなに現在の私たちに役だったのだと,彼独特の進化の見方から語りかけてい る.しかし,今これを書いていて,グールドが映画「ワンダフルライフ」の主人公と重ねたのは,ひょっとすると彼が著書でこっぴどく批判したウオルコット自 身ではないかという気がしてきた.齢60を越えて発掘に着手し,さらに発掘途中で妻と息子2人をそれぞれ事故や病気,戦争で失うという悲劇にさいなまれて もなお,情熱はその後もとどまることなく,人生の最後のページをバージェスの化石に賭けたウオルコットの人生こそ「ワンダフルライフ」だったと書きたかっ たのかも知れないと初めて感じた−−.

 ―真にエスニックなものは驚くほどコスモポリタンだ.―「ヘルメスの音楽」浅田 彰より


あとこのあたりの勉強の参考用に

古生代前期の紀の命名の由来
http://aitech.ac.jp/~yoshiga/WALES/geology.html

三葉虫Q&A
http://www.museum.tohoku.ac.jp/q&a/tum_qa01.html
など,あと三葉虫で検索するとアマチュア化石コレクターなどの方のページが山ほどヒットします.

世界最大の三葉虫発掘記(ただし英文)
http://www.manitobamuseum.mb.ca/mu_trilobite.html
世界最大のとんぼ,むかで?類などの再現ページ
http://www.windsofkansas.com/lifesize.html
世界最大の完全なゴキブリの化石
(3.5-inch long cockroach)
http://researchnews.osu.edu/archive/bigroach.htm
三葉虫本(以下がもっとも有名.複眼が方解石でできているなどの話しがあります)
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0780.html

カラフルな年代表
http://www1.plala.or.jp/CUE/cmap_chisitu.html
日本の石灰岩の石炭紀,ペルム紀の化石
http://db.yamahaku.pref.yamaguchi.lg.jp/db/tigaku/t_1-1_01.html
古生代初期の一般的な解説
http://www1.tecnet.or.jp/lecture/chapter4/4_10.html
私(岡本)のバージェス頁岩巡検記
http://www.tennoji-h.oku.ed.jp/tennoji/yossi/CANADA/Burgess/


<参考書>授業でも話したように下記の2人は生命の進化の過程から考えて,バージェス頁岩の動物達の役割を異なった見方から捉えています.
グールドは我々の存在は偶然であるという立場,モリスはむしろ必然であるという立場に要約されます.

ワンダフル・ライフ―バージェス頁岩と生物進化の物語    ハヤカワ文庫NF
スティーヴン・ジェイ グールド (著), Stephen Jay Gould (原著), 渡辺 政隆 (翻訳)
カンブリア紀の怪物たち―進化はなぜ大爆発したか シリーズ「生命の歴史」〈1〉    講談社現代新書
サイモン・コンウェイ モリス (著), Simon Conway Morris (原著), 松井 孝典 (翻訳)


6月教育実習生特集
 教育実習に来られている,中井先生,伊勢田先生の授業のなかから,トピックスを紹介します.
まず,観察に用いたカスリ火山灰について.
 カスリ火山灰は,大阪平野の地下にある大阪層群の上部に見られる鍵層(地層の年代が解っていて,広範囲に分布し特徴があるので見つけやすい.→地層の対 比に用いる)で,約38万年前に降り積もったとされる.千里,泉北丘陵部に露頭があった(現在は都市化で露頭が失われた場所が多い).早速顕微鏡写真を 撮ってみました.
 

img_1595.jpg img_1601.jpg
視野全景はこんな感じ.黒い柱状の鉱物は何と説明されたかな?
この中には,石英,火山ガラス,長石,長石が風化した粘土鉱物,そして角閃石と輝石が含まれているそうです.どれがどれかわかりますか?
ちなみにこのカスリ火山灰層は,下記に紹介のあるマチカネワニが発掘された時に,その時代を決める決め手となった火山灰層です.
http://www.city.toyonaka.osaka.jp/toyonaka/seisaku/kouhou/mukashi/mu_01_mai/index.html
マチカネワニ発見記は以下に
http://www.city.toyonaka.osaka.jp/toyonaka/seisaku/kouhou/kohotoyo/200509/52.pdf
それにしても,40万年前の大阪湾は入り江に巨大ワニが棲み,時折,大規模に火山灰が降るという状態であったことがよくわかる.

大阪層群については,googleでたくさんのサイトがヒットするが
http://www2.mus-nh.city.osaka.jp/learning/geoguid/osaka_sogun.html
http://www.geo-yokoi.co.jp/Onsen/OhsakaGp/OhsakaGP02.htm
ピンクタフについて
http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~rika/tigaku/nature/g_pink/pink%20top.htm
縄文海進について
http://homepage1.nifty.com/motohiro/jyoumonumi.htm
やや専門的な冊子として,
http://www.kubota.co.jp/urban/pdf/30/index.html
が詳しい.
おまけで「どらえもん,のび太の日本誕生第1回」
http://www.geocities.jp/bwkumo/fffpaleo/nippontanjo1.html

4月火山関連

泥流災害(1985)を取り上げた,ネバド・デル・ルイス火山の写真入りサイト
http://www.bousaihaku.com/cgi-bin/hp/index2.cgi?ac1=BB40&ac2=&ac3=2777&Page=hpd2_view
(このサイトには他に授業で取り上げたたくさんの火山が写真入りで紹介されている.一見の価値あり)

2007年4月17日 同じような名前のネバド・デル・ウィラ火山(
Nevado del Huila)が噴火.泥流が発生するが死者けが人なし.

http://vulcan.wr.usgs.gov/Volcanoes/Colombia/Maps/map_colombia_volcanoes.html
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200704190006.html

BBCニュースYoutubeニュース映像,(以上「ある火山学者のひとりごと」のページよりリンクを見つけました)

私の火山の写真を含む巡検記は

  2000年有珠山噴火 関連
 □ 1991年雲仙噴 火関連
  1986 年伊豆大島三原山噴火関連
  その他の火山関係

<火山のビデオの紹介>
National Geographic Volcano

<ビデオに出てきた火山>
ス ルツエイ(アイスランドの海底火山から新島) Cock's tail はマグマ水蒸気爆発の特徴
・ハワイ(キラウエア) 噴水のような噴火,水のように流れる溶岩.粘性の小さな火山の特徴
・桜島 火山雷が印象的.典型的なブルカノ式噴火「The key to the future is the past」
サ ントリーニ火山の噴火 紀元前1500年ごろ.
・ポンペイの悲劇(ベスビアス火山,紀元79年) これはあまりにも有名.
タ ンボラ(インドネシア,1815年) 日射をさえぎった火山灰がヨーロッパに1815 is the year with out a summer.をもたらす.
 同時代イギリスの風景画家ターナーの絵にある夕焼けの風景.高層の火山灰が異常な夕焼けを見せる.
 この時期浅間山(1783),ク ラカタ(イ ンドネシア,1883)など大噴火が相次ぐ.フランス革命は浅間山噴火がもたらした?
セントヘレンズ(USA, 1980) 山頂直下の地震をきっかけに地すべりが発生.それが原因でマグマと地下水が接触.大爆発を起こしたと推測.山体の1/3を吹き飛ばし,57 名が死亡

<参考書>
セントへレンズ火山に挑んだ火山研究者の物語りとして
「火山に魅せられた男たち」 ディック・トンプソン著/山越幸江訳/地人書館 \2,400+税
http://www.chijinshokan.co.jp/Books/ISBN4-8052-0726-4.htm
元本はVolcano Cowboys,英語はやや難解.それでも値段はかなりこちらの方が安い.


Copyright by Y.Okamoto, 2007