2007年理科観察実験講座(地学分野案内)  2007.07/20,07/21改訂,07/27写真入れ替え,08/02改訂

 大阪では,入手の難しい火山灰の鉱物観察を,容易に入手できる園芸用土で行なう方法を紹介する.
あわせて,本校で所有する各種火山灰のサンプル(大阪層群のアズキタフ,ピンクタフ,カスリタフ)の他,有珠や三宅島の火山灰サンプルも配布の予定.また,ペットボトルで簡単にできる堆積実験やリップルマークの生成実験も紹介する.

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8月16日・8月17日共通(超音波洗浄処理の実際)
 園芸用土としてホームセンターで簡単に入手できる「赤玉土」に含まれる鉱物を双眼実体顕微鏡で観察する方法を紹介する.
 赤玉土や各種火山灰を教科書に書いてある方法で,

1)蒸発皿の中で水を入れて指の腹で押しつぶしす
2)さらに上澄みを流すことを数回繰りかえす.
3)蒸発皿やビーカーに入れたまま,超音波洗浄機に10分ほどかける.(これが重要.眼鏡洗浄に使う家庭用のもので充分)
4)また上澄みを流すことを数回くりかえし,乾燥させる.

 これで鉱物表面の汚れが取れ,見事な鉱物の形が顕微鏡下に浮かび上がる.本物の美しさは写真の比ではありません!
「赤玉土」は下記などのサイトによると立派な「関東ローム層」だそうです.ホームセンターに行けば,全国どこでも「関東ローム層」が簡単に入手できることになります.
http://www.tachikawa-heiwa.com/lesson.htm
http://www.engei-support.com/topic_mame_03.html

※火山灰の観察に超音波洗浄を用いる方法は大久保雅弘(2007)「大阪府高等学校地学教育研究会会報」の記事によります.
また赤玉土を火山灰の観察に使用するのは佐藤輝夫(1986)「
福島県教育センター所報ふくしま No.76」http://www.fks.ed.jp/DB/60000.shohou/00076/html/00010.html
によります.記して感謝します.
※有珠山,美瑛など北海道の火山灰については,北海道立理科教育センター地学研究室長 岡本研氏からの提供です.この件では北海道札幌北高等学校教頭 宮嶋衛次氏にお世話になりました.
※火山灰の観察に用いる参考資料としては,「新版火山灰分析の手びき」地学団体研究会,2001年10月http://wwwsoc.nii.ac.jp/agcj/handbook.html#handbook14が適当です.この資料の入手については,大阪府立清友高校教諭 別所孝範氏の協力を得ました.

なお,この講座では,各種火山灰や鉱物の種類などについても扱うつもりです.また小型のデジカメを持参していただくと下記のような写真が簡単に取れます.


赤玉土を処 理したもの.中央はシソ輝石の結晶.この他にも普通輝石,角閃石,磁鉄鉱など関東ローム層に含まれる各種有色鉱物のきれいな結晶がたくさん見れる.ただ し,筆者は鉱物の専門ではないので,文献にある以上の有色鉱物の詳しい見分け方は指導できません.悪しからず.(背景の青線が1mmの方眼,視野径は約8mmに相当)

姶良火山灰(AT)を処理したもの(熊本県阿蘇山で筆者が採集).バブルウオールと言われる発泡構造が顕著な火山ガラスが非常にきれいに輝く.(上と同縮尺)

大阪層群中のカスリ火山灰層の鉱物.細長い黒い柱状不透明の鉱物は角閃石だという.この火山灰は大阪層群中のものの中では例外的に有色鉱物が多いと文献などにある(背景の方眼は1mm,視野径は約8mmに相当).

同じく大阪層群中のピンク火山灰.粒は細かくなりますが,バブルウオール型のガラスのほかに結構有色鉱物があるのもわかります(縮尺は上とほぼ同じ).

同じく大阪層群中のアズキ火山灰.ピンクタフに比べるとやや粗粒で,白色の多数の岩片のほか,バブルウオール型のガラスも含まれている.有色鉱物もあるが自形のものは少ない.(縮尺は同じ)


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