薄片製作レシピ yossi.okamoto at mark gmail.com 2018年12月21日新装

Part.1 (2021年1月11日改訂)

Part.2はこちら

筆者は岩石学の専門家ではありませんが,学生時代の進級論文に始まり,教員生活でもときどき生徒と,実習で岩石薄片を作りました.
ま た昨年より非常勤で2ヶ月間仕事をしている,タイの科学高校には,地学の標本や実験設備がなく,今その手作りの真っ最中です.その中でも岩石薄片はもっと も重要な教材なので,昨年よりその自作に勤しんでいます.その成果で今年はかなりの数の薄片を作成したので,その一部はタイの教員ワークショップで配布し たり,大阪教育大学科学教育センター主催の理科教員研修講座でも配布しました.現在もいろいろと試行錯誤で薄片を製作中です.
この頁は,その経験に基づいた薄片製作レシピを公開します.

<留意点>
当然ながら筆者は系統的に岩石学を勉強したり,薄片製作技術を学んだわけではありませんので,あくまで独学,我流の方法であることに留意してください.このサイトに来られた方はご自身での創意工夫をどうぞよろしくお願いします.

※ 当サイトは,学校の教員などが,教材としての岩石薄片を作成する手順を紹介しています.専門家用のものではありません.その点ご留意ください.
※ 岩石切断には,大阪教育大学附属高校天王寺校舎地学教室の岩石切断機を借用しました.管理者の井村有里先生にお世話になりました.感謝します.
※ 最近の薄片製作技術,特にUV硬化型接着剤の使用ほかについては,大阪市立大学非常勤講師 別所孝範先生にご教示いただきました.感謝します.

0.準備するもの

スライドガラス(鉱物用)Amazonで入手
カバーガラス(鉱物用)上に同じ

接着剤:ボンドEセット,UVクラフトレジン液,Amazonで入手
ほかに水や研磨剤を入れる容器など.

この他にガラス板(普通ガラス厚板29x19cmx8mm厚,コダマガラスで入手,1枚1000円見当)
研磨剤カーボランダム(#300,#800 各500g),アランダム(#1500 少量) モノタロウなどで入手



1.岩石の入手


当然ながら,薄片にする岩石を入手します.風化していない新鮮な岩石が必要です.次の2つの方法がおすすめです.

河原や海岸で適当な岩石を拾う.(例)大和川
石材店で石材用の端材を入手する.(例)ネット上の幾つかの石材屋さんが,無料のサンプルを配布されているようです(送料は必要).

サンプルには必ず産地(入手先),もしわかれば岩石名もマジックで記しておきましょう(下の写真参照).

2.岩石の切断(2021年1月11日改訂)

次に岩石を切断して薄片用のチップを作ります.
私は旧勤務先の地学教室の岩石カッターを時々借りて,切らせてもらっています.ハンマーで岩石を薄くかいてTipを作る方法もありますが,能率が悪く,や はり岩石カッターをどこかで借りるのが手っ取り早いです.ここでは筆者のかつての勤務校である大阪教育大学附属高校天王寺校舎地学教室の岩石カッターを用 いた例を紹介します.

まず適当な大きさに岩石を切ります.以下の動画をご覧ください.また岩石カッターの細かい扱いは割愛します.

1) Using a rock-saw at high-school(Tennoji Senior High-School attached to Osaka-Kyoiku University). Click image to video.
学校設備の岩石切断機を用いる.写真をクリックすると動画へ.(写真の学生さんは日本語の勉強で当時大阪教育大学に留学していた日系ブラジル人のY.Iさん)



作成した,Tipとそれを整理するための小袋.かならず産地や岩石の特徴を記入しておく.
Small bags are prepared to subdivide rock samples and the location and the rock names are recorded on the bags.

Here are diorites at Anougawa in Mie Pref. Special thanks to Mr. Takashi Miyazaki for his help to our collecting samples.
これらは,三重県安濃川の閃緑岩のサンプルです.宮崎隆氏にサンプルの採集にあたり有益は情報をご教示いただきました.

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Here are tips and mother rocks. Andesites, basalts, and diorites at Yamato-Gawa in Osaka with thin-sections 2019.
上の切断機で2019年に作った岩石チップ.大和川の安山岩,玄武岩,閃緑岩など.


3.片面の磨き

これで作成した,薄片Tipを次の要領でまず,スライドガラスに貼り付ける片面を磨きます.

荒ずリ:#300(ガラス板),もしくは包丁研ぎ機(荒砥をあらかじめセット)で平面にする.切断面のノコ目が荒すぎる場合は鉄板(#150)を用いることもある.
時間はほぼ平面になるまでで数分はかかる.
中ずり:#800(ガラス板).約3分摺る.タイマーをセットするとよい.
仕上げずり:#1500(ガラス板).これも約3分摺る.

光を斜めに反射させて,キズや摺り残しがないことを確認する.

4.スライドガラスへの接着

スライドガラスと接着剤を用意する..筆者はボンドE(90分硬化型)を用いている.あらかじめ2液をつまようじなどでよく混合することが大事.混合が不十分だと切断時に剥がれやすい.
岩石をまずホットプレートで加熱する.接着する面を上にして,手で触れないくらい熱くなれば,電源を切る.

スライドガラスを用意して,ホットプレートから下ろした岩石片の片面につまようじで接着剤を薄く塗布する.厚く塗り過ぎないように注意.
このあと熱い岩石にガラスを被せて,ガラスの中央部を押し泡を追い出す.ガラスを少し左右前後にゆするように押して泡を追い出すことが大事.また接着剤をできるだけ薄くなるように力を入れて押すことが大事.岩石の温度は40度から50度くらいが適当.
これを静かに新聞紙の上に放置する.ただこのときに接着剤が熱でさらさらになっているため,石が動いて固定されやすい.ときどき石がずれていないかを十分チェックする.



数日置いて,完全固着後,再度岩石切断機で薄く切り落とす(その2へ

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