自作岩石切断機製作レシピ yossi.okamoto at mark gmail.com 2019年4月14日新装, 5月19日追加

§.着想

教材としてカタログに載る「岩石切断機」は販売元も少なく,大変高価で個人としてはとても手がでない.また切断に使うダイヤモンドブレードも極めて高価である.
そこで米国に目を転じると,Rock SawとかLapidaryとhomemadeをキーワードに検索すると,結構安い機材や自作機材が多く目に止まった.またダイヤモンドブレードの価格も安い.
それらを参考にして,たまたま手元に置いていたベンチグラインダーが使えないかと試行錯誤の末,下記のような岩石カッターを試作したので報告する.まだ試作段階であり,今後使用しつつ改良を目指したい.

製作にあたって,この種の岩石切断機をすでに自作されていた,岩石鉱物収集家の宮崎様のHPを参考にさせていただきました.また氏からは数多くの制作上のアドバイスをいただきました.感謝申し上げます.
https://sites.google.com/site/zatsukichou/home/jiao-shan-shi

※実際の製作使用にあたっては,水を使うので感電の恐れがあります.かならずベンチグラインダー本体をきちんとアースにつないで使用してください(法令的には接地が義務付けられているそうです).

※筆者の下記の機械は改造後約1年で,水槽側のベアリングが侵入した錆で固着し,改造を余儀なくされました.下記の修理の顛末もかならずお読みください.最低,モーター軸への水の侵入を防ぐ,防水板の取り付けと,グリスの封入は最初にされた方がよいとおもいます
http://seagull.stars.ne.jp/2020_Thin_Section/Fix_Rock_Saw/index.html


§.材料

下記と同等のものであれば使用可能と思われます.

ベースにするベンチグラインダー  藤原産業SK11 7000円弱
仕様は以下のとおり.  https://item.rakuten.co.jp/yamakishi/34952153/より
●用途:金属の研削・研磨・バリ取り
●電源:単相交流100V(50/60Hz共用)
●電流(50/60Hz):3.3A/3.0A
●消費電力(50/60Hz):330W/270W
●作業ライト電球:40Wまで(別売)
●回転数(50/60Hz):2850回転/分・3450回転/分
●砥石寸法:外径150×厚さ19×内径12.7mm
●砥石粒度:A36・A60
●コード長:2.9m



ダイヤモンドブレード: AliExpress 
6" 150 mm SINTERED Diamond Lapidary Saw Blade Slab Trim Arbor 3/4" Bushings 1/2"ILOVETOOL
と記載のあるもの 2000円強

アクリル端材(基本は5mm厚のもの,アクリル屋ドットコムより)http://www.acry-ya.com/acry-ya_new/html/diy/htm/hazai.htm
アクリルカッターとアクリルサンデー
アルミ端材中古品(オリジナルマインドなどより)https://www.originalmind.co.jp/useds
各種工具類

§製作と試運転

製作には,以前に地震計製作に用いた大阪教育大学附属高校天王寺校舎の卓上旋盤,卓上フライス盤を用いた.
さらに大阪教育大学附属天王寺中学校の上田学氏から,回転砥石切断機を借用した.
以下青い枠のサムネイルはクリックすると大きな画像になります.

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まず組み上げた全景です.ベースにしたのは両頭グラインダー.片方の砥石をダイヤモンドブレードに換えたものです

試運転時の動画です.クリックするとスタートします.大山の安山岩をスライドガラスに接着したものを薄く切りました.水を浴びないように少し斜めに身体を置きます.
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ここからは製作工程です.まずは水槽をアクリル厚板の端材から作ります.アクリルカッターで切断してアクリルサンデーで接着します.手を切らないように注意!軍手をはめて作業をした方が良いかも知れません.私も知らない間に色々と切っていました.
さらに補強&防水のために,ごらんの細い三角柱(東急ハンズなどで購入)を切って四隅の内側に接着します.本当は防水パテの方がよいかも知れませんが.
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水槽にアルミ板のテーブルを載せるのですが,テーブルを固定するネジを切るために太い角柱を2枚の板から接着して作ります.端をフライス盤できれいに整形しています.
次にこれをフライス盤のカッターで同じ長さに切って4本の短い柱を作ります.
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完成した4隅の柱.これを水槽に接着します.
アルミテーブルの穴に合わせて,ネジ穴を開けて,4mmネジをタップで切ります.
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次にモーター軸にダイヤモンドブレードを取り付けるための,治具(アーバー)を作ります.まず廃品のアルミ丸棒から必要な長さの部材を切り出します.回転砥石切断機を用いました.
モーター側の水槽を取り付けるネジと干渉する部分を少し切り込みます.
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裏返して,ブレードの内径に合う出っ張りを残します.
芯を出して,モーター軸の穴を開けます.
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最終的にモーター軸(1/2インチ,12,7mm)と同じ径のドリルで穴を開けます.ドリルは一気に太くせずに徐々に太くしていきます.これに組み合わすアーバーをもう1個作ります(略).
次にテーブルにするアルミ板(3mm厚,硬い)に,ブレードを通す横穴をフライ ス盤のエンドミルで開けます.5mmのエンドミルを使いましたが少しはばが広すぎたようです.また最初に斜めになって失敗しています.エンドミルで横穴を まっすぐに空けるのは,簡単そうに見えて実はエンドミルの回転の摩擦の影響を受けて,結構難しいです.
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横穴が完成です.角を落としたり,バリを取ります.
さて必要な材料がすべてそろいました.テーブルには水の飛散防止のための水除けをアクリル板+木材+L字アルミで作って取り付けてあります(一番右).水よけはかなりやっつけ仕事で作りました.
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まずモーター本体に水槽を3本のビスおよび,台座に1本のビスで取り付けます.5mmと6mmのビスを使用.台座用のアクリル板は水槽の底の外側に接着してあります.
※この取り付け前に,モータ軸回りへの水の侵入を防ぐ,防水板の取り付けと,グリスの封入は最低,行った方がよいと思われます.
http://seagull.stars.ne.jp/2020_Thin_Section/Fix_Rock_Saw/index.html
続いて,モーター軸にアーバーの片方をはめる.
img_2203.jpg img_2208.jpg
さらに,ブレードを回転方向に注意して取り付ける.回転方向の確認は下記サイトの図を参考にしてください.http://www.dca.or.jp/di_tools1.html
ダイヤモンド粒から流星の尾のように鉄の尾を引いているので,その流星の流れる方向が回転方向です.
少しだけブレードから出ている部分が,もう片方のアーバーの内部に格納されます.また刃と接触する部分が,輪のように削り残っています.少し分かりにくいか.
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軸が回らないように,片方の砥石を手で止めて,アーバーをボルトで締めて,これでブレードは完成.
テーブルをビスで固定し,水槽に水を入れ,外で試運転しました.雨が降ってきましたが,器械の調子はとても快調です.
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使用後に水槽を外してみた所.軸に少しサビが回っている.内部にも若干水が侵入しているか.
水槽のドレンコック用の穴をあけて,ネジを切る.
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M8のプラスティックネジをドレンコック代わりに詰めた.水漏れは今のところ大丈夫みたい.
薄片を薄く切る(0.5mm以下に)ためのガイドをつける.アルミのL字金具を切ってネジ止めするが外すこともできるようにする(まだ未完成)

工作でもっとも難しいのは,アーバーの製作です.旋盤が使えない場合には,グラインダーには元々砥石を支えていた留め金具が2個あるので,これでブレード を挟む工夫をすればよいと思います.ブレードには元々12.7mmなどのモーター軸にあう内径スペーサを同梱しているものがあります.工作器械が使えなく ても,色々と工夫が可能なところです.なお心配していた,モーターのトルクですが,薄片のスライドグラスに接着した岩石を切る程度であれば,十分すぎるト ルクだと思います.回転数もちょうどよい具合です.なにより新品のブレードだと本当に気持ちよく切れます.ブレードは安いものがAliExpressに多 数出品されています.色々と試すのがよいと思われます.あとモーター軸への水の侵入が心配ですが,しばらく経過を観察することにします.試運転が終わった ので,あとは水槽にドレンボルトの穴を空ける予定です.また経過を報告する予定です.とりあえず製作直後の報告です.5月19日に写真を追加.ドレンコックを付けた様子です.あと薄片ガイドはまたそのうちに.


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