学会終了後の自主巡検の報告.            2024/08/04

学会本体とその付帯した巡検の様子は下記を
http://seagull.stars.ne.jp/2022_Matsue/index_1.html

ここでもFaceBookの記述から.

島根の学会,アルカリ玄武岩の台地状の大根島の公式半日巡検と,その後の自主巡検の様子を備忘録に残します.学会終了後,せっかく島根に行ったので公式で はない,地質巡検に大教大の学生さん2人と出かけました.本当はもう一人隕石が専門の先生も行くはずだったのですが,仕事の関係で学生さんのみになりまし た.出雲に移動してレンタカーを借りて,1日め島根半島のジオサイト,2日め観光を兼ねて世界遺産の「石見銀山」,流紋岩の柱状節理の「日御碕」,そして 出雲大社で締めとしました.それでは写真で紹介します.

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さて8/25は,雲が多く時折小雨が落ちてくるあいにくの天気でしたが,下記の論文を手がかりに松江層の玄武岩のうち,代表的なサンプルを得るべく,この茶臼山に上ります.登り口をみつけるのに少し苦労しました.
https://ir.lib.shimane-u.ac.jp/.../E-MFE/41/--/article/6519
場所は下記の地図の7番の地点.
https://www.geo.shimane-u.ac.jp/geopark/chausuyama.pdf
171mほどの小山ですが,途中まむしは見るは,N君は蚊に攻撃されるは,私は下りのぬかるんだ道で滑って,ズボンの後ろが,どろどろに汚れるはで,結構大変でした.
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残 念ながらこの山は露頭らしい露頭は皆無で,ごらんのような登山道の途中の転石を割ることにしました.気象専攻4回生のK君も,2回生のN君もハンマーの経 験は,前の大和川巡検だけで,悪銭苦闘の連続です.まあ何とか大学のH先生に頼まれたサンプルは得られました.ここでもスズメバチが威嚇するなど,結構気 をつかう場所でした. さ て午後は,気を取直して島根半島の北岸の,ジオサイトの一つ須津の海岸の洗濯岩を訪れます.ここは学生の頃に卒業した高校の地学巡検に付き添って訪れて以 来で,何かそのときに比べると,随分と波の侵食が進んでいる印象です.地層がゆっくりと褶曲しているのがわかります.褶曲の典型的写真として教材で使えま す.
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さて自主巡検1日めの最後に,玉造温泉のめのうの採掘の関係場所を訪れます.まず情報収集に地元の記念館です.この場所は,何かラブホテル街の裏にあって,ちょっと驚きました. しかしさすがに玉造の名にふさわしい,立派な碧玉の標本です.この場所は縞状の赤いめのうではなく,このような青い碧玉をメインに採掘していたようです.
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数多くの展示の中の1つ.勾玉の製作過程がよくわかる.穴をあける技術も図にある. そこから車で10分ほどのところに,めのう(碧玉)の採掘口が開いていますが,ここを尋ねるのは石オタクくらいなのが,道中は夏草に埋もれていました.
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鉄格子の奥の採掘場所を,N君に照らしてもらって写真を撮りました.あたりには幾つもこのような脈状の碧玉があるようです. トンネルの入り口のコンクリの石の中に,けっこう見事な碧玉を発見しました!実は途中の道でも小さいですが,碧玉のかけらを拾うことができます.注意してみないとわからない.
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さ て自主巡検2日めは有名な世界遺産「石見銀山」を訪ねました.出雲市から無料の山陰道を途中通って,約1時間の道のりでした.筆者の個人的な巡検に付き 合ってくれたK君とN君です.昨年度の教養の授業を取ってくれた学生さん.とくに気象専攻の4回生のK君(左)は1回生ですでに単位を取った授業をもう一 度,単位抜きで見に来てくれた熱心さでした. 一番奥にある観光用の間歩(まぶ,坑道)まで,2.4kmを歩くのですが,随所にこのように無名の間歩(坑道)の口が開いています.
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さ てこちらが観光用に残されている,一番大きな間歩で途中に解説もついています.入坑料は410円でした.受付の人に色々と教えてもらいました.別子銅山の ように私企業でなく,ここは幕府直轄の天領として開発され,大正年間に閉山したとのこと.最盛期には世界でも指折りの,銀の生産量を誇っていたそうです. 魚の骨のように,メインのトンネルに直交する鉱脈が走るので,随所に横方向にこのような支脈を掘ったあとが残ります.
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恐ろしく温度が低いのがわかります.しかし湿度が90%近くあるので,まあTシャツでも何とかなりました. 昭和30年代に掘られた,観光用の通路のトンネルの天井に,すでに鍾乳石ができつつありました.鍾乳石が専門の大学の先生に差し上げる写真を撮りました.鍾乳石の成長速度が計算できます.
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さて午後は島根半島の西の端に位置する,日御碕を訪ねます.途中お腹が減ったのでレストランに立ち寄りました. おばあちゃんが一人で切り盛りしていた店でほかには,客もなく,最初まったく期待していなかったのですが,出てきた「ひらまさ」の浸け丼(1200円と格安)にびっくり.新鮮な刺し身がすごいボリュームで乗せられています.これは美味しかった!学生さんもこれには満足!

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さてほどなく「日御碕」に到着.遊歩道を歩いて灯台下の岩石を見学します. ここは流紋岩の典型的な柱状節理が見られる,地質では有名な場所です.前に訪れたときの記憶より,はるかに細かい節理がとても印象的.N君にスケールに立ってもらいました.
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同じく細かいスケールの節理です.文献の説明には流紋岩の,溶岩ドームに相当する部分だそうです. 節理の教科書的な構造がよくわかります.玄武岩や安山岩では有名なのが,幾つもありますが,流紋岩のこうした構造は,ほかであまり見た記憶がありません.
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節理のサイズが非常に細かいのが特徴です.ルーペで見たのですが,白い斜長石?以外には目立つ斑晶は確認できませんでした.細かい空隙が開いています. さて日御碕灯台は登れる灯台としても有名で,300円を支払って,長いらせん階段を登って展望台に立てます.足がすくむ高さで,家族連れが喜んでいました.
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最後は出雲といえばこの神社. ここのおみくじは,大吉みたいな表示のない穏やかなものでした.これにて今回の巡検の締めとします.


茶臼山のアルカリ玄武岩.松江層の新生代中新世のもの.肉眼でもカンラン石の斑晶がわかる.玄武岩としては黒くややグラッシーな印象.薄片にするのが楽しみ.
資料は
https://www.geo.shimane-u.ac.jp/geopark/chausuyama.pdf
接写レンズでiPhoneで撮影.緑色透明のかんらん石の斑晶が美しい.ひし形の単結晶か?


玉造めのう公園の道で拾った碧玉?のかけら.



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