2024年能登地震に関連する教材を紹介します.               2024年1月28日-31日.Y.Okamoto

近隣の小学校の6年生対象の特別授業のためのものですが,中学・高校でも使えると思います.

1.余震数の推移をプロットするための方眼紙(ダウンロードは下記から).

http://seagull.stars.ne.jp/2024_Noto_Eq/Graph.jpg




※ 最初の2日は目盛り外になるので,プロットしなくていいです.結果はきれいな反比例のグラフの一部を形成します.余震数の減少は放射能のような指数減衰で はなく,べき減衰となります.地震学にはGutenberg Richter則など,べき乗則に乗る関係がしばしば登場します.この余震の減衰の法則は1894年に日本の地震学者の草分け,大森房吉により発表されま した.海外では大森公式というのとこちらの余震数の減衰を指すことの方が多いようです(中学校の教科書では大森公式は震源距離とS-P時の関係ですね). 大分以前に,その頃生徒に実習した,「碁石モデル」を使ってこの大森の余震法則を再現しようと,苦闘していたことがあります.下記のものをどう ぞ.

岡本義雄:2つの「大森公式を巡って」(その2)-1995年兵庫県南部地震について「余震公式」を検証する-,大阪と科学教育 13, 5-8, 1999



2.能登地震余震分布図と能登地震断層ペーパーモデル.

元地図はJMA(気象庁)震源リストからGMT3.4を使用して作成しました.型紙ダウンロードは以下から.
http://seagull.stars.ne.jp/2024_Noto_Eq/Noto_Fault_Modelv2.png

余震分布図は下記を保存してください.色付けは筆者の3DChromaDepthメガネで見る震源地図の着色にしています.
http://seagull.stars.ne.jp/2024_Noto_Eq/Base_Map.png





※ 断層モデルはたとえば下記にあるものを,こちらで大胆に簡略化して作りました.能登地震を発生させた断層のおおまかな姿をとらえるものです(当然ながら科学的な厳密性は除外しています).実際の断層よりはるかに大きく作ってあります.
また余震域が見やすいように,断層の海底面との交点はかなり北側にシフトさせています.断層の傾きも適当です. 
https://www.gsi.go.jp/common/000254306.pdf


 

※ この断層モデルから,国土地理院で作成された,地殻変動の様子を説明できます.また津波の発生も想像できます.断層と地震が深い関係にあることを小学生にも理解してもらおうと作りました.

地図作成の備忘録は下記をどうぞ.(GMTの処理とスクリプト関連の処理を書いています)
http://seagull.stars.ne.jp/2024_Noto_Eq/2024_Noto_Map_Reminder.html

<余録>

※ GMTは地球科学業界では昔から,地図やグラフの作成によく使われてきたフリーソフトです.大変高機能ですが,コマンドライン処理がネックであまり地学教 育の分野では活用例が少ないようです.若い先生方にはぜひ活用にチャレンジしてほしいと思っています.使用例はネット上にたくさんあるのでそれを参考にし てください.なお,筆者は2008年にこのソフトの製作者P.Wessel
さんに,オスロの学会で初めてお会いし,親しく話をしていただいたのがささやかな自慢です.http://yossi-okamoto.net/Old_HP/Futen/2008_Norway/Oslo_4.html
※ この作図には,日本の県境データも必要となります.筆者のプログラミング習作時代に,こつこつと自作したデータが下記にあります.これを使います.
http://seagull.stars.ne.jp/2024_Noto_Eq/GMT/Japan_PB.dat

※ 授業などで使われた際は,ご連絡いただけるとありがたいです.yossi.okamoto<atmark>gmail.com


3.スケルトン地震計(岡本・根本2023)による,大阪でとらえた能登地震の本震と余震波形

参考文献:岡本義雄・根本泰雄:教室で用いるスケルトン地震計 −アクリル樹脂,ネオジム磁石,およびESP32基板−,日本地学教育学会第77回全国大会滋賀大会Poster,English_Version,2023

Ref.Yoshio OKAMOTO, Hiroo NEMOTO: Skeleton Seismometer for ClassroomsUsing Acrylic Plates, Neodymium Magnet and ESP32 Board −,2023

 筆者らは,昨年12月より,以前勤務していた大阪教育大学附属高校天王寺校舎・附属天王寺中学校の物理研究室に,表題のスケルトン地震計3成分を設置し,地震観測を行っていた.この機材で捉えた波形を紹介する.
場所は4階だてビルの4F窓際で特段,地震観測のための環境を整えたわけではない.地盤も上町台地上とはいえ.都市の軟弱地盤が覆っている.

The authors installed three components of the skeleton seismograph in the physics laboratory of Osaka Kyoiku University High School Tennoji and Tennoji Junior High School, where we used to work, and have been observing earthquakes since last December. Seismograms captured by this equipment are presented here. The location of the laboratory was beside a window on the fourth floor of a four-story building, which was not particularly well equipped for seismic observation. Although the ground was on the Uemachi plateau, it was covered with urban soft ground. 




<地震波形>

2024年1月1日の波形(横線20分,縦に72本(24時間).青が上下動,緑が南北動,紫が東西動です.本震の観測値の震度は3でした.年末年始,日 本を離れていた筆者に,大阪教育大学附属天王寺中学校実習助手の三橋礼さんからデータを送っていただきました.また日頃の機材のメンテナンスも三橋さんのご厚意によります.お礼申し上げます.

Seismograms on January 1, 2024 (20-minute horizontal lines and 72 vertical lines (24 hours). Blue indicates vertical motion, green indicates north-south motion, and purple indicates east-west motion. The intensity of the main shock at the OBS site was 3. Ms. Rei Mitsuhashi, a laboratory teacher at Tennoji Junior High School attached to Osaka Kyoiku University, sent the data to the author, who was away from Japan during the year-end and New Year holidays. Mr. Mitsuhashi is also kind enough to maintain our equipment on a daily basis. I would like to thank him.




2024年1月2日の波形.余震が続いている様子がわかります.余震は大阪では無感の地震ばかりです.

Seismograms on January 2, 2024. Aftershocks are still continuing. The aftershocks are all no felt in Osaka.




2024年1月3日の波形 Seismograms on January 3, 2024.



堺市立新檜尾台小学校 理科室
Sakai City Shin-Hinokiodai Primary School Science Room



2024-01-01 to 01-03 3-days(72-hours) record. only N-S comp.



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