2019年初夏,北海道巡検(幌満,士別を中心に) 2019年7月4日公開,2020年1月18日改訂

2019年05月連休明け 北海道南北縦断の地質巡検に行ってきました.附属高の卒業生で現在北大地球科学の4回生S君との共同企画で,北大を定年退官さ れて現在はアポイ岳地質研究所の所長新井田清信先生.高校地学教員から北海道理科教育センターを経て,現在は東海大学の教授をされている岡本研(きわむ)先生を講師にお願いしての豪華な巡検でした.参加者は筆者の初任以来の地学教員の先輩で あるBさん,大阪教育大学に日本語の勉強で留学してきている日系ブラジル人のIさんとS君,筆者です.Bさんは日程の都合で前半のみ参加になりました.ま ずは前半の幌満かんらん岩巡検からご紹介します.
(2020.01.19.新井田先生から説明内容の明らかな間違いや不十分な点についてのご教示をいただきました.一部の説明を改訂,追加しています.新井田先生ご指摘ありがとうございました)

なお地質学会の巡検案内は下記のとおりです.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/geosoc/113/Supplement/113_Supplement_S167/_pdf/-char/ja

また新井田先生のアポイ岳ジオラボのHPは
http://www.apoi-geopark.jp/geological_institute/ です.
さらに最初の様似町役場前のかんらん岩広場の岩石の説明は
https://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~kiyo/Peridotite_Plaza.html
に詳しい.

※新井田先生からのコメントにより,一部の説明を改訂しました(2020.01.19.改訂場所は紫色で表示しています

幌満編 その1.

このコースのうち幌満川を遡るコースが今回のメインとなりました.札幌からレンタカーを1週間借りての巡検です.
しれでが地質巡検前半を3日間の旅程に分けて紹介します.ちなみに今回の関空新千歳航空券は,昨年のブラジル学会行きなどで溜めたJALのマイレージで獲得.自腹の巡検なのでとてもありがたかった.

その2はこちら

その3はこちら

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札幌の前泊は大通り公園に面したビジネスホテル.Booking.comで1泊4600円(朝食なし)と格安でした.
https://bwhotels.jp/sapporo-odorikoen
札幌から東へ高速をひた走ること1時間ほど.地元の国道に入り新冠泥火山へ.
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国道側に道の駅?と駐車場.
泥火山の説明板.結構広い範囲にわたっているのがよくわかる.
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しかし,牧場は競走馬の関係で立ち入り禁止みたい.
側から写真のみ.泥火山の火口に入れると期待していた一同ややや消沈.
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気を取り直してさらに今度は国道を南下すること数時間.やっと様似町の役場前に到着.
車を停めて,役場前の石碑を見る内に新井田先生が到着.早速石碑の講義が始まりました.
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これが代表的なシンプレクタイトが入ったレルゾライト.このときはいくら説明を聞いても,ほとんどの展示されていたかんらん岩類の区別があまりつかない状態.
こちらがハルツバージャイト.緑色の単斜輝石の分量が5%未満とか.黄色い部分はやや風化していたのは現地の岩石を見たあとからわかった.このときは緑色の石というだけで何がなにやらわけわかめ状態.
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これらの石は地元の石材業者が磨いて町に寄付したとか.さすがに世界ジオパークだけはある.(2019.01/19追記.これらの石は石材業者ではなく,様似町の功労者『杉本栄一の志を記念して」奥さんの「治子」さんと息子さんの「定」さんの寄贈だそうです.
https://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~kiyo/Peridotite_Plaza.html
訂正します

こちらはガーネットの入った日高のグラニュライト.これらの区別も巡検のあとで区別や意味が把握できるようになった.
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小雨がまだぱらつく中での講義となった.
こちらはダナイトだったか.黄色の縞はやや風化した部分.
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シンプレクタイト(かつて柘榴石などだった部分が分解して生じる)の紫の縞が多数入っているレルゾライト.
熱心に講義を続ける新井田先生と聞き入る参加者たち.
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こちらがかんらん石の10cmを越える巨晶が入るダナイト(輝石の割合が少なくかんらん石が大部分)の六角柱.
ダナイトの貫入の状態が立体的に見れるようになっている.
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こちらは斜長石レルゾライトだったか.少し黒っぽい岩石です.もっとも始原的なマントルを示す岩石だそうです.
拡大写真.やや黒っぽいのが特徴.
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さらに日高変成帯の石(輝石片麻岩,グラニュライト).
これもそうだったか.
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さて町はずれの海岸沿いのエンルム岬にやってきました.あとで見る蝦夷層群に貫入したヒン岩(安山岩質の半深成岩)の岩脈露頭だとのこと. 漁村が一望できるなかなか眺めのよい場所.はるか向こうの高なりもおそらくヒン岩.
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ここに石碑が.「火星より遠いアポイのかんらん岩」.意味は次の写真に.
わかりやすい説明.しかしここまで登ってくる観光客がどれだけいるのか.
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石碑のかんらん岩はハルツバージャイト(エメラルドグリーンの単斜輝石が少ない)のような感じ.上面は風化面.
こちらは一転,陸上を少し走って蝦夷層群という地層の露頭.
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説明の看板.ジオサイトにはこのような看板が整備されている.
砂と泥が中心の堆積岩の地層であることはわかるが,それ以上は近づけないのであまりよくわからなかった

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こちらは人文系のジオサイトの一つ,先住民のアイヌの文化の再現.
ここでも看板が.
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さて新富町の石切り場を遠望.稼業中で入れないが,石灰岩を切り出していたか?
遠望.石灰岩の旧鉱山だったはず.
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やっと様似町ジオパーク展示館に到着.新井田先生と看板石.
もうおなじみの緑のかんらん岩.
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こちらはかんらん石の巨晶が入っているダナイト.
10cm以上はあろうかというかんらん石の巨晶.
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ジオパーク展示館の様子.地質学の専門家も2名配置されているとか.
ダナイトとハルツバージャイの関係を示す展示.巡検論文によると,始原的なマン トル構成物質は斜長石レルゾライトが最も肥沃な出発点で,玄武岩質のマグマ(メルト)を部分溶融で生み出しながら残りの成分が→レルゾライト→ハルツバー ジャイト→ダナイトと分化したと説明されています.
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クロミタイト.
世界のかんらん岩の産地.
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桜がまっさかりの幌満の遅い春.
さて新井田先生のジオラボがある旧小学校の校舎前にも立派なかんらん岩.
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新井田先生のラボ.薄片製作研磨用の道具が置かれています.
初めてみせてもらったダイヤモンド砥石.これ早速帰ってからAliExpressで買いました.
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密度を実感するための標本.計算が簡単なように10cm角に業者に作ってもらったとか.とてもわかりやすい.
研磨標本や薄片製作の手順が書いてある.重量計は昔ながらのバネばかり.左の窓際に岩石カッターが置いてあった.
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さてこの日はごらんの宿に1泊.
向いは翌日に泊まる田中旅館.


ここで幌満1日め巡検終了.2日めはいよいよ幌満峡を遡ります.その2へ   その3へ
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