薄片製作レシピ 余録.27th Jan.2020

薄片製作で,岩片をスライドガラスに接着するのに,私の学生時代はレーキサイドセメントを用いましたが,溶かすときの熱の管理が難しく,今では2液混合の 接着剤を一般的に使うようです.ここでは比較的水に強いと言われるボンドEを使っています.ボンドEは約50g入のA剤B剤を混ぜて使用しますが,この混 ぜる比が1:1ではなく,55:45≒5:4みたいです(これ関連資料を探しましたがきちんと書かれた技術資料を見つけれません).根拠はチューブに書か れたg数です.以下写真をご覧ください.

あと,大抵の場合,接着剤は余るので,余った接着剤の使い道として,切断した岩石表面に塗ることを思いつきました.これ結構きれいな光沢面となって岩石にもよりますが,鉱物粒の観察にとても好都合なサンプルが作れます.一度お試しを!

あと標本箱もボール紙から自作してみました.買うと結構高いので.これ色んな大きさのものを作っておくととても便利です.

※筆者は岩石学は学部時代に一応習ったものの,薄片観察は素人です.コメントの誤りなどありましたら,お教えください.写真の横幅は約13mm

Part.1はこちら.

Part.2はこちら.
 

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ボンドEは正確には等量ではない!これ混合の割合がいいかげんだと摺っている間にどんどん鉱物が剥がれてくる.
そこで秤量計(Amazonで2000円あまり)を用いて5:4に測りとる.
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幌満のかんらん岩の切断面(上)と接着剤塗布面(下).塗布した方は見 違えるように岩石や鉱物の組織がよくわかる.つまようじなどを用いて充分な量の接着剤を塗布したあと,静置して3日間くらい表面に触れないようにする.自 然にみごとな艶が出る.岩石はあらかじめヒーターで,手で触れないくらいまで温めておくと,鉱物粒のすきまにまで接着剤が流れ込んで都合よい.
左がタイのサファイヤ鉱山の玄武岩の中に産したXenolithのかんらん岩,右がやや風化した幌満のかんらん岩.
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両サンプルの塗布していない裏側.Xenolithは黒く酸化?している.
これを写真のようにUSB顕微鏡で見てみた.ルーペでみるのと同じ.
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Xenolithのかんらん岩.レルゾライトとある論文に記されている.エメラルドグリーンの単斜輝石と少し飴色をした斜方輝石が黄色のかんらん石のなかに埋もれているのがよくわかる.10倍ルーペで見たのとほぼ同じ.この岩石は塗布の効果がもっともよい.
幌満のかんらん岩(シンプレクタイトの筋の入ったレルゾライト)はやや風化した黄色の生地にこれも同じくエメラルドグリーンの単斜輝石と飴色の斜方輝石の粒がよくわかる.視野幅はいずれも13mm.
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左から幌満かんらん岩の接着剤塗布サンプル,研磨剤研磨サンプル,愛媛県東赤山のエクロジャイト.エクロジャイトはガーネットがみやすいようにLEDライトで上から照らした.(2020年8月追記.この岩石は正確にはエクロジャイトではなく柘榴石角閃岩というべきもだと思う.エクロジャイトに含まれる淡緑色のオンファス輝石がみられない)
エクロジャイトは表面が暗く,あまり接着剤塗布のご利益がありませんでした.残念.むしろかんらん岩の風化したような白っぽい岩石の方がよいのかも知れません.
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幌満かんらん岩のコースター.切断した切れ端で幾つか作りました. わかりやすいように,塗り残しの部分を作りました.接着剤塗布の効果がよくわかると思います.
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次に標本箱の作り方です.まず2枚の白ボール紙の表面に水で溶いた木工用ボンド液を刷毛で塗ります.
2枚合わせたものをガラス板の間にはさんで糊が乾くまで,重しをして放置.2枚合わせるのは通常の白ボール紙では厚さが不足するからです.
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貼りあわせたボール紙に箱の展開図を書いて,はさみで切ります.4隅はのりしろなしでかまいません.
折り曲げたあと,左にある製本テープで囲みます.折るときに2枚の間の糊がはがれても気にせず作業を続けます.テープで固定するととても丈夫になります.
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製本テープでたるまないように気をつけて,しっかり囲んだあと,テープを切り取ります.4隅で裏と表に折るために切り込みを入れて,
裏をまず折ってとめ,表面の側を今から折るところ.左側の箱は完成品に岩石サンプルを載せたところ.
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裏側はこんな感じ.
完成したもの.軽くて結構丈夫にできます.教材屋では驚く価格です.右のややくたびれたものが市販品ですが,数百円したはず.自分で作るとほとんど製本テープ代でできます.お試しを.



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