地質巡検蔵出しシリーズ その6 18th Feb.2019


東北三陸津波跡編(2012年春) その3.

(2012年春,東北三陸津波その1)

(2012年春,東北三陸津波その2)

昔,仕事で訪ねた地層や露頭,あるいは研究所,博物館などの写真を紹介します.教材としては自由にお使いください.ただし著作権は放棄しません.商用利用はご相談ください,

今回は,2012年春,1年前の津波の跡もまだ癒えぬ東北を訪ねた際の記録です.学会のあるイベントの下見を兼ねた旅でした.多くの方が犠牲になった場所の記録なので,授業のときに見せるものを除いて写真を眠らせていました.想像力を 越えた自然の力に言葉を失うということが,生きているうちに本当にあったのだと実感した旅でもありました.私のような地震学を少しかじっただけの下っ端がそうですから,専門家 はそれ以上の辛い日々を送られたのだと推測できます.あれから7年目の春が来るので公開することにします.同行した日本地震学会学校教育委員会の委員諸氏(当時)に感謝します.当日資料は委員の荒井賢一氏(栄東高校)作成のものを使用した.感謝します.

最終日の行程および関連資料(キャプション記載のものもある)

2012年3月31日(土)午前 田野畑村および陸中海岸
資料は
https://www.vill.tanohata.iwate.jp/geoworld/otakara/otakara_04.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/geosoc/119/Supplement/119_2013.0027/_pdf
など.

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三陸鉄道の田野畑駅の一つ南側の島越駅のあたりは高架の線路が流され,トンネルが山裾にぽっかりと穴をあけている.この写真は全日の夕刻に撮影.https://www.youtube.com/watch?v=vt9lhsoTi_Iが津内直後の様子を報告している.本家旅館も映っている.「あまちゃん」の舞台ともなったところ. 駅前のロータリーなのか?線路を支えた柱の残骸とともに被害の大きさを物語る.
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流出を免れた宮沢賢治の石碑.波模様はもともとのデザインみたい. さて車で三陸鉄道の駅を1つ分だけ北上して田野畑村に到着.
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高台にあり1軒だけ被害を免れた「本家旅館」に宿泊.経営者のおかみさんと. 和風旅館らしい心のこもった朝食を堪能しました.
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こちらは旅館のすぐ下の田野畑駅方面から見た海の様子.こちらは復興が急ピッチで進んでいる. 朝から狭い道に車が殺到し,何やら駅の方が騒々しいので行ってみた.
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田野畑液は再建されて立派な駅舎が建っていました.そこに人だかり.
何とこの日の朝,一部復旧なって運転を再開した三陸鉄道の一番列車が出る式典があったのです.この日に来れて幸運でした.
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鉄道の出発を見送ったあと,車で遊覧船の出る港を目指します.朝から昨日の雨天と打って変わった気持ちのよい晴天でした.
防波堤が津波で切れています.堤防の内側は更地になっている.
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漁港に到着.しかし遊覧船はここからではないみたい.
再度車で次の漁港へ移動しました.今度は大きなホテルが建つ場所です.
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やっと目当ての船を見つけました.遊覧船と言ってもただの小さな船でした.船長が小型マイクとスピーカーで解説をしてくれます.http://www.tanohata-taiken.jp/banya/sappa/index.htmlがHPです.このサイトの右側の写真の方が案内してくれました.
港を出ると早速見事な傾いた地層が見えてきました.
http://www.tohoku-geo.ne.jp/information/daichi/img/52/03.pdf
によるとジュラ紀から白亜紀前期の付加体堆積物のように見えます.
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NPO法人を立ち上げて観光に力を入れようとしています.
やがて勇壮な陸中海岸の景色が見えてくる.
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船長みずから解説に力が入る.
荒々しい陸中海岸の海食地形.このあたりは火成岩か.
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この洞門を船でくぐる.

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凝灰岩の堆積構造か酸性火山岩の流理構造のように見えなくもないが詳細は不明.
陸中海岸の景色を堪能して船着場に戻ってきました.
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船に乗る時に気になっていた漁港の脇の地層を見ると何と白い海棲の化石が入っています.石灰質の岩石だった.
さて全行程を終えて車は東北自動車道に乗るために一路山を目指します.3月末とはいえ東北の山々はまだ雪の中でした.これをもって2012年春の三陸巡検を終了します.

3日間の短い旅であったが,東北の津波の跡を見て回った.あまりの被害の大きさに声を失い,自然災害に対する予測科学の無力さを改めて痛感する旅であっ た.しかし津波の浸水の高さや威力を実際に自分の目で確かめることで,専門家もおそらく予想していなかったこの災害の「想定外」の規模を自身で確認できた のが唯一のこの旅の成果でもあった.最後の日に再開なった三陸鉄道の出発式に立ち会えたのも何かの縁である.三陸地方の今後のさらなる復旧を願ってやまな い.この拙い巡検記録を最後までご覧頂きありがとうございました.何かコメントなどありましたら,HPのピロフィールにあるメールアドレスにご連絡いただ ければ幸いです.2019年2月19日記す.


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