2019年Mukdahan写真日記その4  2019年10月24日公開

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Mukdahanでの生活にも安定が出てきたころ,校長先生に誘われて地質見学と観光にでかけました.そのほかの活動の様子などです.

昨日は現在いる学校の校長先生ご夫婦に誘われて,北側に隣接するサコンナコーン県まで1-DAY Tripに出かけました.前半は途中の地質サイトの3か所の見学.後半は初めて訪れるサコンナコーン県の観光です.先生が愛車シーマ(こちらでは少し違う名前ですが)で往復200kmを越える道のりを1人で運転して連れていってもらいました.
朝9時にアパートを出発,とりあえずまず西隣のカラシーン郡の化石を展示しているというお寺を目指しました.彼はとても話好きで,私と同じくそれほど流暢ではない英語ですが双方会話がはずみます.ほどなくPhu Phan山地にさしかかる手前で新しい道路を作っている工事現場で,広大な露頭が見えるのに気づきました.そちらに車を乗り入れて,作業員に許可を得てもらい,工事中の道路の対岸にある壮大な地層を見学,サンプルも取って次のポイントであるお寺を目指します.
山に近づいた村にあるお寺を見学.これが当たりで,何ととても有名な淡水魚の化石発掘現場に近く,お寺の広い部屋に博物館のように化石が並べてありました.さらにラッキーなことにその作業に従事した人がお寺にたまたま居て,発掘現場まで案内してくれました.発掘現場には現在博物館が建設中で,作業中の人たちも快く現場見学を許してくれました.
 その後県境であるPhu Phan山地の峠近くで,偶然素晴らしい露頭を発見.ここでも写真を撮りサンプルを採集しました.さらに途中の村で麺の昼食を取り,次にこのあたりで一番 有名な観光地になっている山に建っているお寺を目指します.凄いお金がかけてある本堂の木の柱や展望台からの素晴らしいサコナコーンの風景を楽しみ,最後 の目的地であるサコンナコーン市に向かいました.市内についたのはすでに夕刻近く.西空の太陽を背に素晴らしくきれいな湖の風景を堪能しました.生演奏の 聞けるレストランでこの市で有名な肉料理をごちそうになり,また2時間かけてアパートに戻ってきました.とても素晴らしい巡検と観光になりました.休日に わざわざ私を案内してくれた校長先生ご夫婦に感謝して写真を紹介します.


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日曜日ですが,重機が工事中でした.何でも新しい道路がカラシンとコンケンを結ぶそうで,その工事中のようです.1週間前にムクダハン近くの国立公園で見たのと同様の水平な河川性の堆積物のようです.時代は地質図からはおそらくジュラ紀末から白亜紀初め.観察では下部が暗灰色の泥岩,上部がピンクを帯びた白い砂岩のようです. 朝からよく晴れて,暑くなってきました.右奥の路肩の泥岩と次の写真に写る砂岩を採集しました.
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仲のよいご夫婦.左の路肩のこちらは砂岩も採集しました.すべて学校の標本にする予定です. こちらは午前中の目的地だったカラシンの村にあるお寺の部屋ですが,化石の展示室になっています.
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2年前にシリントーン博物館で見た魚と同じ種類なのかはよくわかりませんが,淡水魚の見事な化石です.
こちらも魚と左は珪化木のようです.
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これは珪化木でした. そしてその件のお寺ですが,見事な塔の本堂です.
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本堂の内部.天井が高くその中にも絵が描かれているのは昨年行ったチェンライのお寺にも似ています.こちらのお寺はこのように画家が壁や天井に絵を描くのが普通のようです. そしてお寺から発掘中の現場まで案内者に案内してもらいました.車で10分くらいの距離だったか.ちなみに左のモニュメントは博物館の入り口になるはずですが,やや化石の時代考証が甘い.理由は地学好きな人はわかるはずですが.
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こちらが建設中の博物館本館.中央奥に現在発掘中の魚の化石が現状保存で展示されています.まだ工事中の現場を視れたのは本当にラッキーでした.校長ご夫婦もとても喜んでいました. こちらが現状展示の魚の化石です.まだこのあたりには化石が多数眠っているようで,完成時にどのような仕上がりになるのか楽しみです.ただ完成予定は予算によるので案内者も知らないようでした.おそらく数年以内にできるのではと思っているのですが.
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化石のでき方などを説明する展示がすでに完成しています.あと工事が休日の日曜にも行われていることを思えば完成は近いようにも思えます.しかし校長ご夫婦もわからないといわれていました. 国際的な発掘チームが20年ほど前から発掘に携わっているようです.お寺の僧の方のずいぶん若い時代が写真に写っていました.
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最後にもう一度博物館の本館になる予定の建物の外側を写真に撮りました.とても大きな魚が描かれています.まだところ狭しと工事中の道具が置かれています. さて次にムクダハン南の国立公園がずっと続くPhu Phan Rangeを峠で越えようとする場所の路肩に素晴らしい連続露頭をみつけました.階段状に水平層が露出しています.これは野外観察にとても適した場所だと校長に進言しました.
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泥岩中の典型的なノジュールです.お寺の展示室にも似たようものが置かれていました.化石が入っているかどうかは不明です.泥岩はとても新鮮でここでもいくつか砂岩泥岩のサンプルを採集しました.さらに道路工事に使われたと思われる石灰岩の転石もあったのでそれも持ち帰りました. 水平なラミナがきれいに見える砂岩.
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あと上流部で赤い特徴的な泥岩とやや緑色の泥岩をみつけました.これ昔和歌山の海岸でみた赤と緑の泥岩に似ているのですが,あちらは深海性のタービダイトに関連したものなので,話が合いません.この成因はなかなか難しそうです. クローズアップ.赤の泥岩のなかに淡緑色の同様な泥岩が挟まれています.これもサンプルを持ち帰ったのであとで調べようと思っています.(あとで知り合いの堆積岩の専門家B氏に聞くと,日本でも丹波層群のように恐竜の出る河川性の堆積物で同様の泥岩があるそうでした.なるほど)
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さてこれは前のお寺から上記の露頭に向かう道だったか,水牛の群れた道路が通行中で,追い抜くのに時間がかかったシーンです.タイの田舎道は時折,家畜優先になります.
同じくサコナコーン県の田舎町の食堂.ここで昼食の麺を食べました.
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さてサコナコーン県ではとても有名だというお寺に到着.ここは駐車場に車を止めてお寺の乗り合いトラックで寺まで送迎です.一人20バーツでたぶんこれがお寺の収入源となるようです.とても立派なお寺で休日なのでとても混みあっています.境内は山の崖の下の傾斜面に建てられていて,結構急な斜面をうまく利用しています. 何かすごい7つの頭が仏像の後ろから生えている奇妙な展示物(おそらく蛇?)の向こうにサコナコーン県の平原が素晴らしくきれいに見えます.この日は朝から晴天でこの時期によくある午後の雷雨は全くなく,とても良い天気でした.
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さて本堂はご覧のような砂岩層に直接刻まれた仏像です.何かシルクロードの寺院みたいですね.本物の砂岩層です.しかも見事なクロスラミナが見れています.まあ気づく人は私一人くらいですが,
クロスラミナが分るでしょうか?とても新鮮な砂岩の切り口が露出しています.
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同じく天然の砂岩を削った仏像です.このようにこのお寺はとてもうまく自然の岩石を利用しています. こちらは別のお堂で,柱がすべてとても高そうな古い木を磨いたもので作られています.コップに入った灯りがきれいに揺れています.
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さきほどの蛇?を横から見たところ.巨大な胴体が見えます.このあと,この寺から一路車で下って,サコナコーン市内を目指します.
夕方近くになって,このあたりの県都サコナコーン市内に到着.すぐに隣接する湖を目指します.
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夕食前にとてもきれいな湖を訪ねました.琵琶湖と同じくらいの広さではないかと思われるほどの広大さです.校長先生ご夫婦も仲睦まじく写真を撮りあっています. この湖は素晴らしかったので少し写真を追加します.日没前の風景.
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琵琶湖畔によく感じが似ているなという実感です.
日もとっぷり暮れた巨大な牛のモチーフが飾ってあるレストランで地元の牛肉ステーキをご馳走になりました.後ろのステージではギターと生歌の演奏が続いています.この日は招待ということで全部校長先生に費用を持っていただきました.ありがとうございました.

さ て今年のタイでの滞在もとうとうあと1週間となりました.ちょっとこの間のまじめに勤めている様子もご紹介します.昨週金曜日の現任校で開かれた科学イベ ントの様子をまず紹介.続いて,土曜日に市内の別の高校で日本語教師をされているMさんの誘いで,この高校で開かれた日本語コンテストの審査員を務めさせ てもらいました.Mさんはすでにタイでの滞在歴が5年に及ぶとかでタイ語がペラペラです.私の今いる高校でもかつて在籍されたことがあるとかで,こちらの 事情にとても詳しい方です.そのあとはすでにご紹介した校長夫妻との1日巡検+観光があって,月曜からは生徒相手の特別授業が夕方4日間続きました.夕方 5時から7時まで,2時間ずつの授業で半分実習を入れました.メニューは附属高でも行った系外惑星の発見の話と実習.そして地震計と地震記録の解析法で す.M4(高1)とM2(中2)の希望者20名ずつほどに,それぞれ2日間ほぼ同じ内容で行いました.特に系外惑星の発見の話のあとは,物理の天体望遠鏡 を借りて星空観察をほぼ1時間行いました.M4はタイ語の通訳はなし私の拙い英語のみ.M2のみ英語の先生にタイ語への通訳も行ってもらいました.M4の 生徒には結構満足してもらいましたが,さすがにM2の方は特に地震記録の実習が難しかったようです.参考サイトなどは下記です.それでは少し写真や\動画 を紹介します.なおLineでいただいた写真を含みます.
http://www.yossi-okamoto.net/WS_PCSHS_Mukadhan_2019_index.h…

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この地方の学校を集めた科学イベントでの寸劇です.科学の内容を寸劇にまとめて点数を競うようです.これは現任校の生徒.他にこの地域の中学高校が多数詰めかけています. こちらはロボット製作と運転の準備.直前に課題が与えられてその場で工作をして,競技に臨みます.
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ロボット製作には男子が多かったのですがこちらは女子だけのチーム.製作に余念がありません. ロボット操作の競技会の様子.採点基準とかはよくわかりませんでした.ちゃんと採点の先生が見ているようです.
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こちらは体育館での手作り飛行機の協議会.観客席でまず飛行機を材料から切って組立ます.設計もすべて生徒が行います.動力はゴムのみ.どれだけ長く飛ぶかを競うそうです.
こちらはとても長い時間飛んでいました.たまたまこの時だけ動画に撮ったのですが,とても驚きました.長い動画なので投稿時にとても画像が劣化してしまったよう残念です.
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金曜日土曜日の2日間に分けて行われたポスターセッションはこの日の金曜日は中学生の部でした.この地域の中学高校はすべて中高一貫制なので,同じ数のようです.生徒と教員はそれぞれ学校のバスや先生の車なのでかけつけたようです.
こちらもポスターの様子.説明の生徒もいるのですが,ああり生徒の顔を出したくないので,いない時を見計らって撮りました.
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中学生の題材は圧倒的に生物,化学,農業分野が多いようです.残念ながら地学分野は目にしませんでした.
こちらは氷の機械を利用した,ヤシの実割き機の展示.なるほどという作りをしています
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ちゃんと学会みたいにお茶の用意までされています.
こちらは土曜日に行われたやはり地域の学校の日本語コンテストの模様です.私とMさん,それにJICAから現任校にICTの助手として派遣されているNさんが審査員.企業のSEを2年間休職して青年海外協力隊として来られています.手前は司会のタイ人の日本語担当教員の方です.
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幾つかの部門があったのですが,こちらは最後の日本の古いおとぎ話を寸劇にして競う2校の高校の生徒たちでした.いずれも日本語も,また演技もうまくて審査員全員大変驚きました.しかもMさんを除いてほとんどがタイ人の日本語教師の方が教えている生徒たちです.
会場のMukdahan学校(現任校とは違う学校で,市内最大の人数の学校です.しかし学力レベルはタイでは大変高いレベルだそうで,学年10クラスのうち1クラスは理科数学の授業をすべて英語で行っているそうです.欧米人のほかフィリピンなどの先生が教えているそうです.またこの英語クラスを来年以降拡張する計画だそうです.これを見ると日本がこの分野で世界でとても遅れていることがよくわかります.
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希望生徒対象の天文の特別授業のあとの天体観察会.25cmのドブソニアンを出して木星や土星を視ました.雨季にはめずらしく2日とも晴れてくれました.地方都市の郊外なのに夏の天の川も見えます.ラオスとの国境に近く,かの国の照明がとても暗いからだと思われます. さて学校のロビーでは,生徒の絵が多数飾ってありました.どこかで見たような絵ばかりです.
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これで気づきました.どうも美術の先生の発案でM4(高1)の生徒には全員に好きな絵を模写させているのだそうです.そうして医大な画家の構図や筆使いなどを勉強するとか.なるほどと感心しました.生徒の写真と元の絵が小さい紙で貼ってあります. 放散虫や火山灰の処理にこの学校でも使えるように,超音波洗浄機をタイでは有名な通販サイトLAZADAで買いました.4日ほどで着くのでとても便利です.たしか1000円ちょっとでした.ところが着いてびっくり.何と電源プラグがごらんのような巨大な奴です.これ聞いてなかった.しかしちゃんとこのプラグにも対応する.コンセントがラボにありました(奥に写っているもの).これで一安心.
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電源を入れてちゃんとうごくことを確認しました. こちらはラボを覗きに来たM4の生徒が例のiPhoneXIIを試しているところです.とても喜んでくれています.生徒にこの糸電話をどうしたら明瞭に聞けるか,糸の種類や張り方を変えて,入力と出力をオシロスコープで比較すると面白いよと,ちょっと研究テーマのヒントをあげました.
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こちらは廊下で何やら工作をしている生徒がいたので,聞いてみると,雨を自動感知して,モーターを作動させる装置を考えているとか.彼女たちはイノベーションと言ってました.
こちら側にはモーターが載っています.こちらの国の水道用品はごらんのように目の覚めるような青色とか黄色とかの塩ビを使っています.とてもきれいです.
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さて今日の夕方,アパートにカウンターパートのN先生の車で連れて帰ってもらったのですが,少し時間が早かったので,市内で一番有名な観光地である,山の上のお寺を訪ねました.手前がこの国では有名なNAKAという魔物というか信仰の対象.向こうが巨大なブッダの塔です.
と見る間に,雨が降り出して雷もなりこのありさまになりました.巨大なブッダの塔の下でしばし雨宿りするしかありません.雨季には典型的な天気のようです.



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