USB偏光装置付き顕微鏡による写真その3です.27th Jan.2019

画像がはクロスニコルで,マウスを画像に置くとオープンニコルになります.
筆者は岩石学は学部時代に一応習ったものの,薄片観察は素人ですので,コメントの誤りなどありましたら,お教えください.

なお撮影に使っているUSB顕微鏡はAmazonで8000円台のものです.キャプチャ処理はLinux上のguvcviewで 2592x1944Pixel,自作照明ユニットの白色LEDの色温度は試行錯誤のすえ6000K(昼白色)にしました.これがもっとも自然に見えるよう です.撮影に用いた顕微鏡と自作偏光ユニット.製作記事は
http://seagull.stars.ne.jp/2018_Gadget/Polarized_Microscope/index4.html

また,12月の大学での実験講座のテキストです.ご参考に.

      


画像の横幅は実寸13.5mmです.最後にスケールをつけています.それぞれ写真の下に説明を加えました.薄片写真にマウスを乗せるとオープンニコルの写真に変わります.

潮岬の斑糲岩.自形で独立して干渉色が高いのが橄欖石で,灰色よし少し ずれた干渉色でへき開のはっきりしているのが輝石です.オープンニコルでは橄欖石が屈折率が高いのがわかります.それに対して輝石は屈折率がやや低く,非 常に薄い薄緑色をしていて,へき開が発達しています.他形で隙間を埋める灰色の縞模様は斜長石.
同じく潮岬のはんれい岩の少し斑状になった部分.斜長石の大きな斑晶と石基部分がオフチック構造っていうのでしたか.オープンニコルはごちゃごちゃしていてよく解らない.黒い細長い鉱物が見られる.
こちらは四国室戸岬の有名な貫入岩体であるはんれい岩のサンプル.粒が大きいのと,オープンニコルでかんらん石,輝石の違いがよくわかります.教員になりたての頃に大阪の地学教員の研修旅行で拾ったもの.
タイのカンチャナブリ県のルビーサファイヤの母岩の玄武岩中に取り込まれた Xenolithとしての橄欖岩.干渉色が高い.肉眼では緑色の粒が目立つきれいな岩石.オープンニコルでも屈折率が高いのがわかる.この地域は上記玄武 岩の斑晶としてルビーやサファイヤが取れることで有名.残念ながら私は採りそこねましたが.詳細は
http://yossi-okamoto.net/KVIS/2017/Photo_diary_Part3.htmlをどうぞ.
こちらは上記に似るが,南アフリカ北東部Dwars RiverのBushveld Complex中のPyroxeniteとメモにある.薄片がやや分厚いのか干渉色がどぎつい.へき開が発達しているのが輝石の特徴.オープンニコルで は,屈折率が高いのと,へき開が発達しているのがわかる.ほぼ直交方向のへき開の粒も見られる.この巡検では南アフリカの主要5大鉱山をそうなめにしました.これはそのうちクロム鉱山の露頭の近くの川で採取したもだったと記憶する.2002年 South Africa Johannesburg (IAGOD: Big Five Geo-Safari) をご参考に.
さらに南アフリカ,Barburtonのご存知コマチアイト.35億年前の海底 地殻の形成に伴う高温のマントルからの噴出岩だとされる.やや分厚い薄片で高い干渉色が見られるが,棒状の橄欖石はすでに蛇紋岩化していると文献にある. 輝石や角閃石の斑晶のBasaltic Komatiiteもあるとされるがこれは橄欖石の斑晶が変質したものだと思っているのですが.村はずれの小川の河原の石です.肉眼ではきれいなspinifex模様が見えています.巡検記は2010年 GeoSciEd6 South Africa Johannesburg をご参考に.
石材屋さんからのサンプルでラルビカイト.月長石が怪しく光る石.緑の干渉色 は,オープンニコル画像からすると橄欖石のようにも見えるが.さらにオープンニコルで黒いのは黒雲母のように見えるが,へき開が違うようにも見える.長石 にはネフェリン(Nepheline,霞石)もあるらしい.調べるとネフェリンはクリアなへき開や双晶があまり見当たらず,干渉色も低い特徴があるとい う.ますますこの全体を占める灰色の鉱物はネフェリンに見えてきた.
愛媛県東赤石山あるいは後に訪れた関川だったか?のエクロジャイト様岩(エクロ ジャイトではなく柘榴石輝岩?).教員になりたてのころに,若い美術の先生と一緒に東赤石山の岩石を車で取りにいった.東赤石山に近い谷川ぞいの林道に止 めた車で寝た.トレイに石を満載にして帰ってきた.自室には彼の模写のムンクの叫びが今も飾ってある.さてこの石はザクロ石と輝石?が主体なので,上で高 い干渉色が輝石?で,いつも黒いのは,等軸晶系のざくろ石の特徴.12/30追記:これ鉱物マニアの人のサイトに輝石ではなく角閃石+緑泥石という記述も あり,筆者は混乱している.確かにオープンニコルで薄緑に見えるのは緑泥石か.オープンで柘榴石が高い屈折率で薄いピンク色,やや浮き上がって見える.かつてはマントルを構成する岩石とも言われたが,最近は沈み込み帯の下部で生じるとされている.(後日註.淡緑色は輝石ではなく角閃石ですね.オンファス輝石部分が地下から浮かび上がる過程で後退変成作用をうけて角閃石に変わったものだと考えられます.)
ブラジルカンピーナスでの学会の折に,宿の庭に転がっていた黒い石.宿の オーナーの許可を得て,割って持ち帰る.近くの車道の広い分離帯には,文献にあったドレライト(粗粒玄武岩)の露頭があったので,それだと思われる.完全 暗黒の鉄の鉱物が多い.磁鉄鉱か?オレンジなどの高い干渉色はへき開が直交方向に近いので輝石か.顕微鏡でとても美しい組織.学会の模様は
2018年 GeoSciEdVIII Campinas, Brazil, Field Trip
三重県安濃川の河原で拾ったマフィックな閃緑岩.下の大和川のものと比べる と興味深い.やや粗粒.この地域周辺は角閃石を含む岩石が豊富で一挙に角閃石関連のコレクションが増えた.ネットで地元の角閃石を含む岩石や露頭の紹介を されている地元の石好きな方に場所を教えてもらった.オープンニコルでの角閃石の緑色が下の大和川のものに比べて濃い.巡検の様子は
http://seagull.stars.ne.jp/Field_Trip_Japan/Amphibole/index.html
大阪教育大学柏原キャンパス近くの大和川の河原で拾ったマフィックな深成岩.閃 緑岩か斑糲岩か難しい.斜長石の双晶が見事.なかなか興味深い組織.オープンニコルでは色からは角閃石のような気がするのですが.クロスと見比べると長石 の方がむしろ自形に近いようにも思える.オープンでは上記安濃川のものとかなり有色鉱物の組織が異なるように見える.
石材屋さんから入手した赤色花崗岩.産地不明.おそらく外国のもの.カリ長石(微斜長石?)の格子模様(マイクロクリン構造)がきれい.石材屋さんには無料で磨いたサンプルを送ってくれる業者もあり,地学の標本としてとても重宝する.
同じく花崗岩であるが,これは白色のもの.附属高の地学教室に転がっていた もの.こちらは斜長石のアルバイト双晶が右上方に見える.その左にはパーサイト構造のカリ長石?.花崗岩は薄片にするとき,薄くなるとほぼ透明なので摺りすぎや摺り足りない部分がわかりにくく,完璧な薄片を作りずらい.顕微鏡で何度も確かめて摺 る必要がある.作ったものだけがわかる難しさ.
インドデカン高原の玄武岩.これぞ本家の玄武岩という風情.やや粒が粗い.現地に行くと洪水玄武岩(flood basalt)の壮大さがわかる.wikiによると面積は日本の1.5倍.50万平方キロに及ぶという.筆者の2014年の巡検記は2014年 GeoSciEd7 India Hyderabad Part1 Part2 + Deccan TripPart1 + Part2 + Part3 + Part4    番外編 をご笑覧ください.
比較のために,三宅島の玄武岩の画像.海岸で拾ったものの薄片.斑晶のうちかんらん石は摺る途中で壊れやすい.この薄片も一部脱落している.海岸はこのかんらん石が集積してさながらブラックサンドビーチ化していた.
四国の香川県津田のざくろ石を含む安山岩.大昔,地学教員の巡検で出かけた 折に採取.中央上部に一部姿をのぞかせるざくろ石の斑晶は等軸晶系なのでクロスニコルで暗黒になる.黄色く細長い角閃石の周囲には黒い反応縁が見える.ま た斜長石には結晶成長を示す累帯構造(Zonal Structure)が見えるものがある(中央下部).
鉢伏山北斜面の安山岩.附属高の討論合宿で山を登ったおりに採集.斑晶は斜長石がほとんど.累帯構造が顕著.
大和川河原のデーサイト.二上山のざくろ石黒雲母安山岩と呼ばれるものに外観の特徴が似る.石英の斑晶が目立つ.
二上山の溶結凝灰岩.基質がガラス質でクロスニコルで黒く見える.肉眼では黒いガラスの縞模様が入る石.

最後にスケールを添付する.最小目盛りが0.05mm.横幅が13.5mmである.


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