2020年初夏,北海道巡検(幌満,日高,有珠山を中心に) 2020年6月12日公開

2020年06月新型コロナウイルス緊急事態宣言明け 昨年同様北海道の地質巡検に行ってきました.附属高の卒業生で現在北大地球科学在学中のS 君との共同企画で,参加者は筆者の初任以来の地学教員の先輩で あるBさん,大阪教育大学の卒業生で現在附属天王寺に理科実習助手として勤務中のMさんとS君,筆者です.諸事情でこの時期の巡検となり,緊急事 態宣言が解除されたとはいえ,県外への巡検というやや肩身の狭い思いをしながらの旅となりました.札幌からレンタカーを1週間借りての巡検です. 主な場所は昨年の幌満を再訪したほか,日高の黄金道路の工事現場に露出する日高帯の片麻岩・花こう岩露頭,三石の蓬莱山近くの河原の神居古潭南端 の結晶片岩や角閃岩の転石.千歳近くの火砕流+降下テフラ層,さらに2000年の噴火直後に訪れた有珠山を今回は外輪山まで登りました.

主な巡検場所への地質学会の巡検案内は下記のとおりです.幌満
https://www.jstage.jst.go.jp/article/geosoc/113/Supplement/113_Supplement_S167/_pdf/-char/ja
日高
https://www.jstage.jst.go.jp/article/geosoc/124/6/124_2018.0025/_article/-char/ja
苫小牧近郊の火山テフラ
https://www.jstage.jst.go.jp/article/geosoc/124/7/124_2018.0038/_article/-char/ja
有珠山
http://orange.ep.sci.hokudai.ac.jp/~kiyo/Usu_ex802.pdf


幌満・日高編

このコースのうち幌満川を遡るコースは前回のおさらいで,今年初めてのMさん向けに車でさらっと回り,1地点のみ川まで降りました.あとは河口と 海岸でひたすらサンプリングにいそしみました.

三石・テフラ編はこちら

有珠編はこちら

昨年の幌満巡検の様子はこちら
http://seagull.stars.ne.jp/2019_Horoman/Horoman_1.html

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関空を飛び立って,一旦ループを書いて高度をかせぐなか,世界遺産登録の堺・百舌鳥古墳群がきれ いに見えた.ここから北海道までは途中富山のあたりで一旦雲の切れ目があったが,ほぼ地上は見えず.
こちらは新千歳空港着陸態勢に入った直後,雲の下に入り,一昨年の地震被害の傷跡が随所に残る厚 真町の山々.
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札幌の前泊は大通り公園から少し裏道に入ったビジネスホテ ル.Booking.comでツインの部屋が1泊3700円(朝食なし)と格安でした.帰りにも2泊しました(連泊割引でさらに安くなりまし た!).これは帰りの際の部屋の写真です.当然一人泊まりですが.
https://tmarkcity.com/sapporo-odori/
札幌から東へ高速をひた走ること3時間足らず.昨年も訪れた様 似町役場前のかんらん岩広場に到着.昨年は弱い雨に見舞われたが,今年はごらんの快晴の天候.
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巡検ガイドの記録に沿って,展示岩石を全部見て回りました.
こちらは巨晶かんらん石を含むダナイト.輝石成分が少ないピュ アなかんらん石成分に富んだ部分です.しかし成因は意外にも,マントル物質中を玄武岩マグマが通り抜けるとき,壁岩のレルゾライ ト(輝石成分が多い)と反応する作用で集積してできるそうです.
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エメラルドグリーンの単斜輝石が少なく,シンプレクタイトの縞 もないハルツバージャイト.
単斜輝石が増えて,シンプレクタイトの紫色の縞が目立つレルゾ ライト.

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日高帯のグラニュライト.
これも日高帯の石だったか.
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さてバイオトイレと神社のある幌満峡谷のサイト.ここだけ車か ら降りて河原まで歩いた.
右手奥が岩盤にコアサンプリングのあとがある斜長石レルゾライ トの模式地.
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昨年よりやや水位が下がっていた幌満ダム.昨年より半月以上遅いからかも知れない.昨年は桜が満開の時期だったが,今年はオレンジ色のツツジが満開だった.
ひん岩の岩脈が見られるエンルム岬.「火星より遠いかんらん岩」という看板があったところ.昨年の巡検記は
http://seagull.stars.ne.jp/2019_Horoman/half/img_2343.jpg
http://seagull.stars.ne.jp/2019_Horoman/half/img_2344.jpg
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陸繋島であることがよくわかる.この時B氏より,陸繋島の英語がtomboloであることを教わる. ひん岩の節理.この走向の方向に岩礁がつながっている.しかしジオパークのサイトにしてはかなり,地味かなと思える.
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遠くに見える岩礁が節理の走向の方向にあたる.
同じく海底に現れる節理の方向.
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全体の説明はここです.
一見とりかぶとの花かと思ったが,どうも園芸種の「おだまき」だったようです.
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この日は少し戻って浦河のビジネスホテルに宿泊.2泊の連泊の1泊目.
さて朝から,えりも町を抜け,日高山脈の東側へ.日高帯の論文の巡検サイトを訪ねようとしましたが,どうも最初の場所は見当違いで,別の場所だったようで撤退.かなり山側の崖が急傾斜で巡検ガイドなどにも危険とあるので,我々はこの日高巡検では全員ヘルメットを着用.
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次に見当をつけて立ち寄った先は,本道とは外れて,海岸沿いにできているトンネルの上部に実は隠れた道があった.これを何とか探し当てた.わかりにくい!
これは反対側を見たところ.極めてわかりにくいところにあるが,探し当てれたのはとてもラッキー.崖の急傾斜に注目!

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お目当ての,橄欖石ノーライト.マフィックな深成岩で回りの白い花崗閃緑岩とは全く色が異なるので,よくわかった.論文のSTOP6です.
朝から怪しかった天候もすっかり晴れ間が出てきて,最高の巡検日和に.ヘルメットも板についてきた.
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どこも恐ろしく急傾斜の崖が海に迫る場所で,崩れを修復するのに予算をがぶ飲みし,黄金が敷き詰められているようなのでいつしか「黄金道路」となったという話が本当に聞こえてくる.
海は太平洋側になります.今回の巡検では始めての太平洋を見る.
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さて本日最初のポイントが大成功だったので,トンネルの入り口に止めた車まで,意気揚々と引きあげます.
さて次のサイトは少し海岸をえりも岬の方に引き返した場所で,人家が切れたあたりの海岸.論文のSTOP5.菫青石花崗岩という記述.
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色々探したあげくに,たぶんこれだろうという場所を発見.
論文の写真と,とても良く似た岩を発見.とりあえずSTOP5をコンプリート.
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さて今日の巡検ポイントを終了し,昼過ぎにえりも岬に到着.昨年よりもさすがに観光客がいない,駐車場に車を止めて,昨年よりも立派に改装された遊歩道を岬の突端まで歩きます.
新たにアスファルト舗装された道を歩くと灯台が見えてくるが,昨年と同様風が強い!
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風の強い岬で,昨年の写真には納まらなかった幾つかの地点.
こちらも昨年は知らなかった石碑.
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岬の反対側の方向.
さらに突端の海岸に降りる道に風で干してあった昆布が飛んできていた.
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また昨年も見た礫岩層の影で,風を避けて昼食を食べた.
閑散とした駐車場に戻ったところ.
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このあと,昨年も立ち寄ったジオパークのビジターセンター.閉館を心配したが開いていた.
ところがここで大発見.何と大阪の岬町の玄武岩のゼノリスが展示されている!和泉層群の中に玄武岩の岩脈があったということなのか.https://www.jstage.jst.go.jp/article/jakoka/2016/0/2016_193/_pdf
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エンルム岬のひん岩も展示されている.
その後幌満川の河口近くの海岸で岩石を見ました.
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ごらんのような岩石が河原と海岸に散らばっています.
この日は浦河のビジネスホテルに連泊.近くのスーパーで夕食を買いだして各自部屋で夕食となりました.できるだけ食堂などの三密を避ける方針でした.


ここで幌満1日め,2日目巡検終了.3日目は三石蓬莱山,千歳周辺のテフラサイトです.その2へ   その3へ
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